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スーパーミドル級のドリームマッチは実現可能なのか…

林壮一ノンフィクションライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 28戦全勝24KOのWBCスーパーミドル級暫定チャンピオン、デビッド・ベナビデスと、同クラスで最強とされるサウル・"カネロ"・アルバレスとのファイトが実現することを望んでいたボクシングファンは多い。

 昨年11月、ベナビデスは、3階級制覇を狙った32戦全勝19KOの挑戦者、デメトリアス・アンドラーデをまったく寄せ付けずに6回終了TKOで一蹴した。第4ラウンド終了間際にアンドラーデを沈めたベナビデスの右は破壊力があった。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 カネロとベナビデスの168パウンド頂上決戦、及びWBC同級統一戦は、否が応でも盛り上がる筈だ。

 が、WBCのマウリシオ・スライマン会長は2月22日、ベナビデスが階級を上げ、過去に同ライトヘビー級の正規タイトルを保持していたオレクサンドル・グウォジクと戦うことを発表。しかも、WBCは、この一戦をライトヘビー級暫定王座決定戦とアナウンス。「6月初旬」で合意のうえで、両陣営によって署名されている。

 ただ、マウリシオ・スライマン曰く、ベナビデスが、また168パウンドに戻してカネロに挑戦する可能性も残っているそうだ。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ベナビデスはWBCスーパーミドル級タイトルを2度奪取したが、体重超過やコカイン使用が明るみとなり、ベルトを剥奪されている。また、スーパーミドル級でリングに上がっているものの、腹が割れていたことはない。WBCがそうしてくれるのであればと、喜んで増量しそうだ。

写真:ロイター/アフロ

 一方で、カネロ陣営はベナビデスとの対戦に拘ってはいない。カネロは2015年以来、フランス軍を撃退したことを記念する5月5日のメキシコの祝日<シンコ・デ・マヨ>の週末に、大きな試合を催してきた。今年も、この週にリングに上がる様子だが、ベナビデスは候補に入っていない。代わりに、ジャーモール・チャーロ、ハイメ・ムンギア、さらにはウェルター級統一チャンピオンのテレンス・クロフォードらがリストアップされている。

写真:ロイター/アフロ

 ベナビデスがライトヘビー級でWBC暫定ベルトを獲得すれば、いずれは正規王者と対戦しなければならない。その折、カネロ、あるいはライトヘビー級のWBCチャンピオンを選ぶのかが、興味深い。ベナビデスの体格からして、ライトヘビーの方が適性であるように見える。

 カネロvs. ベナビデスは、筆者も見たいと思っていたカードだが、なかなか決まらなそうな気配である。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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