デビュー以来8連勝(6KO)中のKRONKファイター
ゴールドのトランクスに赤のサイドライン。白いシューズに金色のライン、その縁取りは細い赤。デトロイトの名門、KRONKジムの代名詞だ。
KRONKの名を世界中に知らしめたのはトーマス・ハーンズである。WBAウエルター、WBCスーパーウエルター、WBCミドル、WBOスーパーミドル、WBC&WBAライトヘビーのタイトルを獲得し、5階級を制した。ニックネームはヒットマン、あるいはモーターシティ・コブラ。
ハーンズは多くの試合でKRONKの名の入ったトランクスと、白い日本製、ミズノ社のシューズを履き、47歳までリングに上がった。
そのハーンズを育てたのが、2012年10月に鬼籍に入ったエマニュエル・スチュワードである。スチュワードは、WBCウエルター級チャンピオンとなったミルトン・マクローリー、WBCスーパーウエルター級王座に就いたデュアン・トーマス、1984年のロス五輪のウエルター級で金メダリストとなり、プロでもWBA同級タイトルを2度獲得したマーク・ブリ―ランド、同じくロス五輪で金メダルを得、プロ転向後にIBFミドル級王者となったフランク・テイト、そしてWBOライトヘビー級王者に就くまでのマイケル・モーラーらを育てた。
KRONKとは当初、地域のコミュニティセンターの名前だったが、スチュワードが使用権利を買い取り、全米屈指のボクシングチームとして名を馳せた。彼の死後、2017年10月に火事で建物自体も焼けてしまい、その名も消え失せたかに見えたが、別の場所でブランド名を守っている。
無論、全盛期の勢いはないが、今回 ミシガン州インクスター出身の23歳、ミドル級のダベル・スミスがKRONKのトランクスを穿いて戦い、デビュー以来、8連勝を飾った(うち6回がKO勝ち)。対戦相手はアルゼンチンからやってきた屈強なベテラン、ロランド・ウェンセスラオ・マンシーラ(19勝(9KO)13敗1分)で、6ラウンド判定勝ちを収めた。スコアは59-55、60-54、60-54だった。
スミスは言った。
「故郷のファンに俺の戦いを見せることが、いつも待ち切れないんだ。いつだってトレーニングキャンプは、上手く運んでいる。ミドル級の世界タイトルを目指してランクを上げることが当面の目標だ。ダベル・スミスが何者かを世界に示す準備は万端だよ」
KRONKファイターはどこまで上れるだろうか。