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W杯で優勝・準優勝した戦士の米国デビュー

林壮一ノンフィクションライター
写真:LAFC提供

 勝利の後、元フランス代表のキャプテン、ウーゴ・ロリス(37)は、3人の子供と共に芝の上を歩きながらBMOスタディアムを一周し、ホームのファンに手を振った。何度も左手を上げ、右の手はずっと末っ子とつないでいる。ひとしきりファンへの挨拶を済ませると、息子を肩車し、パパの顔を見せた。

撮影:筆者
撮影:筆者

 元イタリア代表の名DF、ジョルジョ・キエッリーニが昨年限りで引退したLAFCだが、ロリスの入団効果は絶大で、ディフェンス面が強化された感がある。この日、ロリスは相手チーム、シアトル・サンダースのシュートをほぼ全部、真正面で受けた。それだけポジショニングと読みが正確なのだ。

撮影:筆者
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 2万2214名のファンを集めたLAFCの開幕戦は、2-1で一昨年のMLS(メジャー・リーグ・サッカー)王者が白星を飾った。失点はPKによるもの。ロリスは昨年までのキエッリーニのように、チームリーダーを務めている。

 安定した守備力だけでなく、前線へのフィードでも魅せる。GKからの一本のパスがチャンスを生み出すことをプレーで示す、マエストロである。

写真:ロイター/アフロ

 とはいえ、シアトルの攻撃を潰しても、パスの出しどころが見当たらず、タッチラインを大きく割るクリアーも見せた。LAFCは創立5年でMLS王者となり、連覇を狙った昨季もファイナルまで勝ち上がったが、他の顔ぶれは、まだまだロリスのレベルに程遠い。

撮影:筆者
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 それでも、ロシアW杯で優勝、そして2022年カタール大会で準優勝したロリスが新たな息吹を注ぎ込んでいることは十分に感じ取れた。

写真:ロイター/アフロ

 試合終了後、ロリスは妻、そして3人の子供を連れて記者会見場に現れた。マイクを握った元フランス代表のキャプテンは言った。

 「最後の20分、攻められっぱなしでした。でも、チームでしっかりと戦い、勝利出来てハッピーです。まだ、チームメイトについて学んでいる段階だから、100パーセントとは言えませんが、今後、どんどん良くなるでしょう」

撮影:筆者
撮影:筆者

 幾つかの質問が飛ぶなか、私も挙手して質問した。

――あなたが感じているMLS、そしてLAの魅力とは何でしょうか?

 「熱狂的なファンの温かい声援、そしてサポートが、戦うことへのモチベーションになっています。そしてLAという土地は、家族と幸せに暮らすのに最適な環境だと感じます。心地良いんですよ」

 MLS選手は、子供の教育面についてアメリカを讃える人が多い。東地区のリオネル・メッシ、西のロリスが、さらに米国サッカーを成長させそうだ。始まったばかりの2024シーズン、熱戦を期待したい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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