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W杯優勝・準優勝を経験したGKの新たな挑戦

林壮一ノンフィクションライター
ワールドカップ2連覇は果たせなかったが……(写真:ロイター/アフロ)

 フランス代表として2大会連続でW杯ファイナルに出場。2018年W杯ロシア大会ではキャプテンとしてV。2022年カタール大会は、PK戦でアルゼンチンに敗れて涙を呑んだウーゴ・ロリス(37)。

 今シーズンから彼は、MLS(メジャー・リーグ・サッカー)の強豪、LAFCのゴールマウスを守る。

写真提供:LAFC
写真提供:LAFC

 一昨年にMLSチャンピオンとなり、連覇を狙った昨シーズンは決勝で敗退したLAFCにとって、奪還の鍵はこのベテランGKと感じられてならない。今月24日の開幕戦に向け、調整中のロリスは語った。

 「私を迎えてくれたLAFCに感謝します。新たな冒険の始まりですね。LAFCのファンの皆さんとお会いする日を楽しみにしています。勝利を分かち合いたいです」

 11シーズン、トッテナム・ホットスパーに在籍し、英国でレジェンドとなった一級品らしく、ロリスは柔らかな物腰で言葉を選ぶ。もちろん、英語での受け答えである。

 「このところ、目覚ましいスピードでアメリカのサッカーはレベルアップしています。私は、MLSに来ることをずっと考えていました。自分にとって適切な瞬間を待っていたんです。MLSが急速に成長していることは知っていましたし、ファンの期待、そしてサッカーの価値が高まっていますよね」

写真提供:LAFC
写真提供:LAFC

 記者会見での佇まいや言い回し、記者に対する態度など、昨年までLAFCを牽引した元イタリア代表の名DF、ジョルジョ・キエッリーニを彷彿とさせるものがあった。

 LAFCは、こういうリーダータイプを獲得することに長けているようだ。

 ロリスはこうも言った。

 「気候はまるで違いますね。イングランドは雨が多いですが、嵐のような豪雨ではありません」

 1月下旬にカリフォルニア州南部を襲ったエルニーニョに触れているのだった。

 「キャプテンマークを着けようが着けまいが、私は何も変わりません。自分のキャリアにおいて、キャプテンであることがモチベーションになったことは一度も無いんですよ」

写真提供:LAFC
写真提供:LAFC

 「カルロス・ベラ(元メキシコ代表FW)がLAFCと契約した際、このクラブは世界的に有名になりました。そして、ジョルジョとガレス(ファミリーネームは、ベイル。元ウェールズ代表)、そして私はフランス人なのでデニス・ブアンガが入団した様を目にし『ああ、このクラブは本当に面白いな』と感じました。彼らの存在もあって、LAFCは非常に早くチャンピオンになりましたよね。注目していましたよ。

 もしLAFCの一員となる機会をふいにしたら、後になって絶対に後悔することになるだろうと感じました」

 開幕戦は今週末だ。経験豊富なGKは、アメリカの地で何を見せるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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