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デビュー以来10戦全勝7KOのWBOインターコンチネンタル王者

林壮一ノンフィクションライター
Mikey Williams/Top Rank

 2021年に開かれた東京五輪で銀メダリストとなったキーショーン・デービスがデビューから10連勝を飾り、WBOインターコンチネンタル・ライト級タイトル、3度目の防衛に成功した。

 実は、3度目の防衛戦としてデービスは昨年10月の試合を判定でモノにしている。しかし、試合後に禁止薬物の使用が判明し、ノーコンテストに。勢いに乗る24歳は、ここで躓くわけにはいかなかった。

 対戦相手のプエルトリカン、ホセ・ペドラザはデービスより10歳年上。彼もまた元オリンピアンだが、出場したのは2008年の北京大会。プロ転向後は2015年6月にIBF世界スーパーフェザー級、2018年8月にWBOライト級王座を獲得したが、もはや黄昏時だ。

 2階級を制した元世界チャンプらしく、固いガードでディフェンスの意識は高いものの、一方的に打たれるだけで第6ラウンドにストップされ、自身の戦績を29勝(14KO)6敗1分けとした。

Mikey Williams/Top Rank
Mikey Williams/Top Rank

 5ラウンド終了時点での採点も、3名のジャッジそれぞれが50-45としていた。まだ粗さも表すが、デービスには勢いがある。

 勝利者インタビューでは、マイクに向かって捲し立てた。

 「このトレーニングキャンプ中、俺は自分こそが135パウンドベストだと言い続けていた。チームの誰もが『KO必須』と語っていた。だから俺は、皆に『心配しないで見ていてくれよ』と告げ、その通りの結果を出したんだ」

Mikey Williams/Top Rank
Mikey Williams/Top Rank

 そして、テオフィモ・ロペス戦を希望した。

 「テオフィモは、このところペラペラとよく話しているな。140パウンドまで上げて、ヤツと戦いたい。ヤツと彼の父は俺がどのように動くかを知っている筈だ。だから試合を実現しようぜ」

 セミファイナルに出場したデービスは、その後リングサイドに現れ、メインイベントの勝者、テオフィモ・ロペスを挑発する念の入れようだった。

 デービス、ロペス、両者ともにボブ・アラムが抱える選手である。どちらかが潰れそうなマッチメイクはしないであろう。

 ライト級といえば、5月12日に、ワシル・ロマチェンコとジョージ・カンボソス・ジュニア戦が決まったばかりだ。ジャーボンテイ・デービスの存在もある。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c7c0d5787e569074bebe9c185d91f0db430a1ccf

 140パウンドは、3月30日にWBAスーパーライト級タイトルマッチとして、ローランド・ロメロvs.イサック・クルスが催される。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c1ff67edf49315faac38432e3b9b5e8d00717fac

 益々、このクラスが盛り上がってきた。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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