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久保裕也の同僚だった米国代表選手の新天地

林壮一ノンフィクションライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 米国代表8キャップで4ゴール中のFW、ブランドン・バスケスは、1998年10月14日にカリフォルニア州最南部のチュラビスタで誕生した。国境の街で、景色の行き止まりはメキシコという地だ。

 U17のカテゴリーから星条旗を背負ってきたが、A代表デビューは2023年1月25日。セルビアとの親善試合だった。バスケスはこの試合で、早速ゴールを挙げる。それから、6月24日のジャマイカ戦、7月2日のトリニダード・トバゴ戦、同9日のカナダ戦と、コンスタントに得点を重ねた。

久保裕也とは同僚だった。後姿の背番号19がバスケス
久保裕也とは同僚だった。後姿の背番号19がバスケス写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 MLSでは2020年からシンシナティFCに所属し、久保裕也のチームメイトとなった。その存在に注目したボルシア・メンヒェングラートバッハが米国にスカウトを送り、昨夏はシンシナティの背番号19に熱い視線を送る。が、結局、ボルシアは同じアメリカ人のFW、ジョーダン・ペフォクを獲得した。

写真:ロイター/アフロ

 バスケスはこのほど、リーガMX(メキシコ1部リーグ)のモンテレイへの移籍が決まった。メキシコ系アメリカンであるバスケスにとって、自身のルーツを感じながらのプレーとなる。

 米国の代表クラス、MLSの主力がメキシコリーグへ移籍するというのは、筆者の記憶では彼が初だ。MLSとリーガMXは友好関係を築き、特にリニューアルされたリーグスカップでは、両リーグのチームがアメリカの地で戦っている。

 昨年、リオネル・メッシが加入したインテル・マイアミが初タイトルを獲得したのが、リーグスカップだ。

写真:ロイター/アフロ

 メキシコ代表選手も、アレックス・ベガなどMLSでのプレーを希望する者がいる。今後、隣国間の移籍が活発に行われれば、レベル向上にも結び付くであろう。

写真:ロイター/アフロ

 ブランドン・バスケスは、メキシコでのキャリアをいかに彩っていくのか。米国代表に定着できるのか。今季のリーグスカップでは、どんなプレーを見せるか。興味が尽きない。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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