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CBSが選んだ「パウンド・フォー・パウンドKING&2023最高選手」は井上尚弥

林壮一ノンフィクションライター
(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 井上尚弥がマーロン・タパレスを10回KOで下した翌日、米TV局のCBSは、早くもパウンド・フォー・パウンド・ランキングを書き換え、"ジャパニーズ・モンスター"を1位とした。

 同局がHPで記した内容を一部抜粋する。

 「近年、最も熾烈なレースとなっているのが、P4Pベストを争うトップ2名である。2022年12月にバンタム級タイトルを統一し、1年後には122ポンドでまったく同じことを成し遂げた井上が、P4P王者として今年を締め括ることが出来ないなどあり得ない。

 テレンス・クロフォードは何年もの時間を積み重ねて、ようやくエロール・スペンス・ジュニア戦に漕ぎ着け、PPVの売り上げを徹底的にリサーチししたうえで、7月下旬の統一戦を実現させた。

 彼らを比較することは、まさに一対一の取引だ。クロフォードは2023年に1勝しかしていないが、無敗である史上最高レベルのウエルター級同士の戦いで、当時P4Pランキングでトップ3に入る相手を下した。一方の井上は、2勝しただけでなく、4階級目の勝利だった。彼のパワーと耐久性に向けられた疑問を払拭し、無敗のスティーブン・フルトン・ジュニアを圧倒した。フィリピン人スラッガーのマーロン・タパレスも凌駕した。どこから見ても、井上は現代ボクシング史上で最も偉大な功績を刻んでいる」

写真:西村尚己/アフロスポーツ

 そしてCBSは、2023年の年間最高選手にも、井上を選んだ。

 「過去数年間で数々の印象的なパフォーマンス見せた『ザ・モンスター』にとって、2023も素晴らしい年となった。決して諦めず、新たな挑戦を続ける井上は、2023年に新たな階級に移行し、2試合で誰もが認めるチャンピオンとなった。

  108パウンドでキャリアをスタートした井上が、トレードマークのスピードとパワーを122パウンドでも発揮できるかどうか? という問いに対する、迅速、かつ残酷な回答を示した」

写真:西村尚己/アフロスポーツ

 「残酷な回答」という一文に痺れる。モンスターの伝説は、まだまだ続きそうだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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