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3階級制覇を目指す京口紘人のフライ級第3戦

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
撮影:筆者

 プロ20試合目、フライ級に転向してから3戦目のファイトを迎える京口紘人。デビューから8戦でIBFミニマム級王座に就き、2度防衛。2018年大晦日には、WBAライトフライ級タイトルを獲得し、4度の防衛に成功。WBC王者、寺地拳四朗との統一戦に敗れはしたが、3階級制覇という目標に向かって、己を苛め抜く日々だ。

 来る11日にIBFフライ級9位のフィリピン人、ビンス・パラスと拳を交える。京口とパラスが戦うのは、2018年5月20日以来のことだ。前回の対戦は、京口の持つIBFミニマム級タイトル2度目の防衛戦として行われ、チャンピオンが判定勝ちでベルトを守った。

撮影:筆者
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 京口は、パラスの印象をこう語る。

 「気持ちが強くパンチのある選手で、戦績通り、パワーもあります。ハングリーな選手ですね。なので、大きいフック系のパンチを貰わないようにと考えています。ディフェンス面を注意して、あとはジャブをしっかり突いていくことをテーマにしてきました。

 パラスは僕にリベンジしたいでしょうが、返り討ちにしてやろうという思いです。彼をKOしたら、自分を評価できるように思います。明確に勝つ。差を見せるという気持ちですね。パラスって、日本人には好戦績なんですよ。僕以外には勝っていますよね」

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 20勝(15KO)2敗1分けのパラスは、フィリピンの貧困を脱するために、ボクシンググローブを握った男だ。

 適正ウエイトがライトフライだった京口だが、「自分のボクシング生活も最終章に入っているから」と、敢えてチャレンジする道を選び、フライに転向した。

 「少しずつ、フライ級の身体になってきたことを感じていますし、前回の試合でもKOで勝てましたので、取り組んできたことが試合のなかで出るようになってきた実感があります。

 フィジカル面が向上し、身体付きも変わったと感じます。肉体が大きくなった分、今までの感覚とちょっと違ったりもしますね。機敏さが落ちたかなと思ったりもするんですよ。でも、その分、押し合いになった時のパワーが付いたなと。いかにそれをリングで出すかですね。もはや、フライ級が自分のベストウエイトだと感じています」

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 バンコク、マカオ、米国、メキシコとアウェイでも結果を出してきた京口。今回は韓国での初ファイトとなる。

 「対戦相手を、ホームである日本に呼ぶのはフェアじゃないという声もあるので、お互いが中立国で戦うというのは、いいことですよね。僕は海外に苦手意識もないし、どこでやろうが、いいパフォーマンスをして、当地に自分のファンを増やしたいですね」

撮影:筆者
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 京口のトレーナーを務める小林尚睦も言う。

「今回のスパーリングは、トータルで120ラウンドです。非常にいい仕上がりですし、フライ級で十分やっていける体になりました。パラスは独特のリズムがあって、ワンテンポ遅れて手が出てきますが、その対策も万全です。中盤くらいに京口がKOするでしょう」

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 3階級制覇を目指す京口。今日の便で韓国入りする。11日は、どんなファイトを見せるか。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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