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元世界ヘビー級王者同士の対決

林壮一ノンフィクションライター
戦績を34勝(23KO)3敗としたパーカー(写真:ロイター/アフロ)

 WBA/WBC/IBF/WBOスーパーバンタム級チャンピオンとなった井上尚弥は、2024年にサウジアラビアのリング上がる可能性があるそうだ。

 12月23日、当地では元WBOヘビー級王者のジョセフ・パーカー(31)と、元同級WBCタイトル保持者のデオンテイ・ワイルダー(38)戦が催された。

写真:ロイター/アフロ

 現WBC最重量級王者のタイソン・フューリーと3戦し、最近の2戦で共にKOで敗れているワイルダーは、この2年間でたった1ラウンドしかプロのリングで戦っていない。そこを強く指摘する米国メディアがあったが、言い得て妙。ブランクの影響は大きかった。

 120-108、118-110、118-111と大差の判定で、自身3敗目を喫した。もはや峠を越えた感は否めない。己の身体が、思い通りに反応しないのであろう。

写真:ロイター/アフロ

 過去にフューリーのスパーリングパートナーを務めたことがあるパーカーは、WBC王者との打ち合いが今回の白星に繋がったと話した。

 「ワイルダーに敬意を表する。危険かつ、厳しい戦いだったが、私のチームはこのために懸命に練習した。純粋にトレーニングに集中し、この戦いに向けた勢いを保っていた。まさに、神の計画による勝利だ。

 フューリーには心から感謝する。彼が私のトレーナーに、やるべきことを伝えてくれた。全てプラン通りに運んだよ」

ワイルダーは43勝(42KO)3敗1分に
ワイルダーは43勝(42KO)3敗1分に写真:ロイター/アフロ

 とはいえ、試合前はニュージーランド人であるパーカーよりも、ワイルダーの勝利を予想する人の方が多かった。

 パーカーは言った。

 「冷静に、リラックスして集中力を切らさないことをテーマに戦った。試合全体を通して、全ラウンドの毎秒毎秒で気を抜かなかった。私は戻って来たんだ」

WBO3位、IBF4位、WBCで8位にランクされていたパーカーは、WBAで指名挑戦権を持っていたワイルダーを下したことで、チャンスを得られるかもしれない。

 一方のワイルダーは、今後、「元世界王者」の名前を買われ、若手の<咬ませ犬>として扱われる道を歩むのか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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