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WBAにプレッシャーを掛ける92歳のドン・キング

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 現地時間9月29日に、92歳のドン・キングがメディアに向けてリリースを送った。

 <WBAコンチネンタル・アメリカ・ミドル級王者のイアン・グリーンは我々が待ち望んでいた王者だ。WBAは、11月4日(土曜日)にカジノ・マイアミ・ハイアライで予定されているミドル級王座決定戦の認可に時間を費やし、素晴らしいカードの障害となっている。

 プロモーターのドン・キングはこれまでに、グリーン、そしてマサチューセッツ州のスター、マーク・デルーカ(30勝4敗、18KO)の対戦を打診してきたが、WBAはまだタイトル戦への最終ゴーサインを出していない。

写真:ロイター/アフロ

 同カードまであと1か月だが、WBAがデルーカにチャンスを与えたくないなら、グリーンと対戦して観衆を魅了したコロンビア人、アレクサンダー・カストロ(12勝1敗、10KO)との再戦を許可すべきだろう。カストロ戦は、グリーンがスプリット・ディシジョンで勝利した。

 その後カストロは、ジムでの練習を再開し、9月1日に復帰戦を行い、コロンビアでオスカル・クエロを圧倒した。カストロは破壊的なショットでクエロを4ラウンドにわたって痛めつけた。その結果、クエロは4ラウンド終了後に棄権した。

写真:ロイター/アフロ

 キングにとっては、人々に最高の試合を届けることが全てであり、グリーンvs.デルーカ戦を組むことができない場合は、グリーンとカストロの試合を認めてほしい。

 キングは語った。

 『イアン・グリーンとアレクサンダー・カストロは素晴らしいファイトを見せ、6月のベストマッチとして注目を集めた。ファンに興奮を与え、何度も総立ちにさせた。それがボクシングファンの望みなんだ。だからWBAメンドーサ会長、ボクシングファンが望むものを与えてやろう…リターンマッチが必要だ』。

 WBAよ、やろうぜ!>

 この押しの強さでボクシング界を渡って来たのだと、唸らせるプレスリリースだった。筆者は、ドン・キングに泣かされた多くのファイターを目にしてきたが、この文章は読みながら笑い出してしまった。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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