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MVP男の新たなシーズン

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 先のFIBAワールドカップで優勝し、MVPを獲得したドイツ代表のデニス・シュルーダー(30)。2013年のNBAドラフトで全体17位でアトランタ・ホークスに指名され、10シーズン、世界最高峰のリーグで生き抜いている男だ。

 ルーキーイヤーは49試合のみの出場で、Gリーグに落とされたこともあったが、PGとしての能力を徐々に発揮。

 2018年にオクラホマシティ・サンダーにトレードされ、ラッセル・ウェストブルックの控えに回るも、シックスマンとしての存在感を見せた。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 2020年、ロスアンジェルス・レイカーズに移籍し”KING”レブロン・ジェームズとチームメイトになったシュルーダーは、185cmの身長ながら鋭いカットインを何度も見せ、欠かせない戦力となる。このシーズンは、終盤にKINGがケガをしたことによってレイカーズは失速したが、前半戦は西地区の首位を走っていた。トサカを金に染めたPGの小気味よいプレーは、強烈な印象を与えた。

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 その後、ボストン・セルティックスに移籍したシュルーダーだが、2022年ヒューストン・ロケッツにトレードされる。この年の彼は右肩を負傷し、僅か15試合の出場に終わる。そして、同シーズン終了後、受け入れ先が決まらないままドイツ代表として欧州選手権のコートに立った。

写真:ロイター/アフロ

 2022年欧州選手権でのシュルーダーは、ヒューストンでの鬱憤を晴らすかのように躍動し、得点とアシストでトップ5に入る。そして、ドイツを銅メダルに導いた。

 ドイツ代表の背番号17の活躍に目を留めたレイカーズが契約のオファーを出し、古巣に戻る。そして、西地区ファイナル進出に貢献。八村塁ともチームメイトになった。

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 今回のMVPまでに、何度も苦しい時期を乗り越えたシュルーダー。新たなシーズンは、トロント・ラプターズのユニフォームに身を包んで迎える。初戦は10月25日、対戦相手はミネソタ・ティンバーウルブズだ。

 NBAはFIBAワールドカップより、遥かにレベルが高い。そこでのシュルーダーの戦いに注目だ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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