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パッキャオ、パリ五輪を目指す?!

林壮一ノンフィクションライター
(写真:REX/アフロ)

 キューバ人ファイターであるヨルデニス・ウガスに0-3の判定負けを喫し、リングに別れを告げたマニー・パッキャオの周辺が騒がしいことになっている。

 フィリピン・オリンピック委員会のアブラハム・トレンティノ会長が、「パックマンは2024年パリ五輪で金メダルを獲得し、キャリアを締め括る気持ちだ」とアナウンス。同会長は、パッキャオがフィリピン代表選手となる資格を得る策を検討中だと話した。

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 62勝(39KO)8敗2分のパックマンは、文字通り、己の時代を築いた名チャンピオンである。アジア人である彼が、本場・アメリカ合衆国で最もPPVが売れるファイターとなったことは疑いようがない。

 確かに3ラウンドなら、あの鋭い踏み込みがまだ生きるかもしれないーーーと感じさせるのも事実だ。

写真:REX/アフロ

 そして現在44歳のパッキャオが、45歳で金メダリストとなって2度目の引退というのは、美しいフィナーレになる。ただ、それは万事が上手く運び、彼が勝ったらの話である。

写真:REX/アフロ

 ウガスに敗れた際、パックマンの心にはわだかまりがあったのかもしれない。およそ2年前のファイトは、本来、エロール・スペンス・ジュニアと対戦する筈だった。が、12日前にスペンスの左目網膜裂孔が判明(後に剥離と診断)し、急遽ウガスが代役となった経緯がある。

写真:REX/アフロ

 パッキャオは、トレーニングキャンプにスペンスと同じサウスポーのパートナーだけを呼び寄せて調整していたが、ウガス戦が具体化し、試合直前にオーソドックスを相手にしたプランに切り替えねばならなかった。そこに穴があったかもしれない。

 いずれにしても、パックマンは本気でリングに上がることを決意したようだ。果たして、どうなるのか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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