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IBF世界スーパーフライ級王者フェルナンド・マルティネス

林壮一ノンフィクションライター
Esther Lin/SHOWTIME

 IBF世界スーパーフライ級チャンピオンのアルゼンチン人、フェルナンド・マルティネス(31)がキャリア2度目となる米国のリングで同タイトルの初防衛に成功した。

 対戦相手のフィリピン人、ジェルウィン・アンカハスは同タイトルを9度防衛した前チャンプ。2022年2月26日に0-3の判定負けで王座から転落した。今回のダイレクト・リマッチでは並々ならぬ決意でリングインした。

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 が、内容は初戦と大差なかった。初回からマルティネスの追い足は速く、自身の距離を取る。サウスポーであるアンカハス対策は万全で、前後左右に小刻みなステップを踏み、前王者のパンチを喰わない。

 

 結局、119-109、118-110、118-110というワンサイドのスコアでマルティネスが完勝した。チャンピオンは15戦全勝8KOに、前王者は33勝(22KO)3敗2分けとなった。

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 勝者は語った。

 「初戦の勝因を確認しながら戦った。僕はこの試合に向けたキャンプで自分を苛め抜いた。自分を支えてくれた人たちにお礼を言いたい。ただ、感謝の気持ちを一番告げたい相手は、天国にいる父親だね。彼への思いが自分をハングリーな気持ちにさせてくれ、モチベーションを上げてくれるんだ。

 僕の戦績は世界チャンピオンであることを示してはいるが、まだ、自分の強さを表しちゃいないね。でも、これで母親が必要としている家を買ってやれる」

Esther Lin/SHOWTIME
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 スーパーフライ級といえば、11月1日にこの階級で戦う中谷潤人の動きが注目される。マルティネスと中谷なら噛み合いそうだ。両者の身長差は15cm。中谷のリーチを生かしたボクシングがアルゼンチン人王者を凌駕しそうだ。試合が決まれば面白い。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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