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デビューから20連勝を飾った注目のスーパーバンタム級

林壮一ノンフィクションライター
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 19戦全勝12KOのライース・アリームと、26勝(13KO)1敗のフィリピン人ファイター、マイク・プラニアのファイトは見応えがあった。

 オープニングベルから両者はスピードに乗って、左の刺し合いを見せる。2ラウンド開始早々、アリームが右ストレートを叩きこんでダウンを奪う。その後アングルを変えながら、左フック、右ストレートを浴びせ、前後の速い動きでペースを掴む。

 Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 3ラウンド以降、プラニアも食らい付いたが、攻撃のバリエーションと足の速さ、ディフェンス力でアリームに一日の長がある。

 ラウンドが進んでもアリームはペースダウンしなかった。最終ラウンドの終盤には左右フックをクリーンヒットし、プラニアの動きを止めた。欲をいえば、ここで仕留めたかったか。

 Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 結局、3名のジャッジ全てが100-89と採点し、アリームがデビュー以来、20連勝を飾った。試合開始時点で、WBOで6位、WBCが8位、WBAとIBFで12位にランクされていたアリーム。世界タイトル挑戦も遠くなさそうだ。将来、井上尚弥と絡むこともあるかもしれない。

 Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 アリームは話した。

 「全て予想通りの試合だった。プラニアはタフで素晴らしい闘争本能を持っている。彼が危険な選手だからこそ、賢く戦うことを意識した。

 でも、パワーは感じなかったな。自分のディフェンスは、彼の比ではないし、攻撃力もある。バランスも終始、保ったよ。

 ついにステファン・フルトン戦が実現する時が来たようだ。ヤツに初黒星を与えてやるぜ。今夜よりも接戦となるだろうが、凌駕して勝ってみせるよ」

 ミシガン州出身の32歳は、どこまで上っていけるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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