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WBCライト級挑戦権を得たメキシカンファイター

林壮一ノンフィクションライター
Stephanie Trapp/TGB Promotions

 現地時間9月4日の19時36分、イサック・クルスが花道に姿を現すと、クリプトドットコム・アリーナのボルテージは最高潮に達した。

 試合開始ゴングから、クルスはサウスポーのエドワルド・ラミレスに対し、積極的にプレッシャーをかける。自分の距離に飛び込むと、思い切りよく、左右のパンチを振るった。

Stephanie Trapp/TGB Promotions
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 そして2回、左フックをクリーンヒットしてダウンを奪う。辛うじて起き上がったラミレスだったが、更にクルスの左フック、返しの右ストレートを浴びるとキャンバスに沈んだ。

 

 KOタイムは、第2ラウンド2分27秒。ライト級での初試合となったラミレスにとって、クルスは荷が重過ぎた。

Stephanie Trapp/TGB Promotions
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 勝利した直後、クルスはリング上で息子を抱きかかえて勝利の美酒に酔った。リングサイドからは、ジャーボンテイ・デービスもこの模様を目にしていた。

 会場のスクリーンにデービスが映ると、歓声とブーイングが半々といった調子で場内をヒートアップした。

Stephanie Trapp/TGB Promotions
Stephanie Trapp/TGB Promotions

 試合後、勝者は言った。

 「どんな犠牲を払っても、LAのファンの前で勝ちに来た。今夜はノックアウトを飾ることをファンに約束し、遂行出来た。

 我がチームはジャーボンテイ・デービスとのリターンマッチを希望する。それこそ、ファンが望むファイトだと信じる」 

Stephanie Trapp/TGB Promotions
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 両者の再戦は、今、激戦区ライト級でも最も客を呼べるファイトと言っていい。まだ世界のベルトを巻いた経験は無いが、クルスの人気にも驚かされた。デービスだけでなく、ライアン・ガルシア、ローランド・ロメロと絡んでも面白い。 

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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