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1週間後に試合を控えた4階級制覇王者

林壮一ノンフィクションライター
4階級を制したブローナー(写真:ロイター/アフロ)

 8月20日にフロリダ州ハリウッドで対戦するエイドリアン・ブローナーとオマール・フィゲロア・ジュニア。

 スーパーフェザーから4階級を制したブローナーと、元WBCライト級王者フィゲロアが合意したのは、スーパーライト級でのファイトである。

 キャンプ中のブローナーの言葉をご紹介しよう。

写真:REX/アフロ

 「この試合を心から楽しみにしている。長いキャンプを張って、準備してきた。ハードなトレーニングをこなした。当日は最高のパフォーマンスを演じてみせる。

 今の俺の目標は、オマール・フィゲロア・ジュニアを倒すことさ。そして、新たな将来を描くよ。今後も多くのビッグマッチをやりたい。まずは20日に成功を収めなきゃね。

 フィゲロアのような選手って過去に見たことが無い。常にタフだし、世界の頂点に立った男さ。まぁ、目の前の敵を研究して戦うだけだよな。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ボクシングって、けっして簡単なビジネスじゃない。メンタルが大きく左右する。日々、倒れるくらいまで、とことん自分を追い込まないと勝者にはなれない。俺はやるべき事を全てこなして勝利する。ベストな状態であるオマール・フィゲロア・ジュニアを撃ち抜きたいね。

 試合開始のゴングが鳴るまで、何が起こるか分からない。自分の能力を最大限に使って準備をするだけだ。

 俺は4階級を制したチャンプだ。リングに上がれば、多くの人が期待しながら目を向けてくる。俺自身も己に求めるものが高くなる。とは言え、今までと同じように、とにかく勝つことに集中するよ」

2019年1月にパックマンと戦ったブローナー
2019年1月にパックマンと戦ったブローナー写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ブローナーのトレーナーを務めるマイク・スタッフォードも言った。

 「エイドリアンにとって、脇道的な試合は、これまでに一度も無いんです。彼は世界中のどの国でも、どんな場所でも、いつでもファイトすることが出来ます。そして、勝利を目指して100%の力を出し尽くして戦うんですよ。我々はボクシングに懸ける彼をずっと見てきました。

 あれだけの才能に恵まれた男ですから、多くの人が彼が負ける姿を見たいようですな。でも今回、世界のトップファイターであることを証明するために、彼はリングに上がりますよ。

 ウエルター級でもタイトルを獲りましたし、何度も試合をしましたが147パウンドで計量をパスしたことはなく、いつも下回っていました。あのクラスだからこそ負けた試合もあったし、私はスーパーライト級が適切だと感じています。あと1~2本ベルトを巻けるでしょう」

 残すところ1週間、4階級制覇チャンプはいかなる仕上がりを見せるのか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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