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WBA4位が3位を食って、スーパーフェザー級タイトル挑戦権を獲得

林壮一ノンフィクションライター
(C)Tom Hogan/Golden Boy:

 1995年8月18日生まれの26歳、レイモント・ローチ・ジュニアが、116-112、116-112、117-111のスコアで判定勝ちを収め、WBAスーパーフェザー級タイトル挑戦者決定戦を制した。

 ローチは、9歳で父親からボクシングの手ほどきを受けた。中学生になると週に5回ジムに通ってボクシングに打ち込んだが、高校時代はフットボールに熱中するあまり、一度グローブを外している。

(C)Tom Hogan/Golden Boy
(C)Tom Hogan/Golden Boy

 再びボクシングを選び、2013年にナショナル・ゴールデングローブと全米ユース大会で優勝。アマチュア戦績は125勝15敗。5敗のうち2つは、ジャーボンテイ・デービスに喫したものだ。

 2014年にゴールデンボーイ・プロモーションと契約し、プロに転向。父をマネージャー&トレーナーにすることを、オスカー・デラホーヤが後押しした。当時、ローチはエンジニアリングを専攻するメリーランド大の学生でもあった。

(C)Tom Hogan/Golden Boy
(C)Tom Hogan/Golden Boy

 アマチュアでの豊富なキャリア、しっかりとした基礎を武器としたローチは、19勝1引き分けで、2019年11月にWBOスーパーフェザー級タイトルに挑むも判定で敗れている。

 今回のファイトは世界戦線に再浮上するチャンスだった。ローチは試合開始ゴングからハイペースで多彩な攻撃を見せた。スピードがあり、フォームが綺麗な選手だ。

 ポジション取りも巧く、まとめて打てる。5回には右ストレートでWBA同級3位の対戦相手、アンヘル・ロドリゲスをグラつかせた。7回にも、左ボディーでダメージを与えた。

(C)Tom Hogan/Golden Boy
(C)Tom Hogan/Golden Boy

 ディフェンスも良く、決定打はもらわなかった。ただ、終盤に向けて失速し、迫力に欠けた点が今後の課題か。

 23勝(9KO)1敗1分けとなったローチは、試合開始時点で同級4位。3位を下したことで、タイトル挑戦が現実的になりそうだ。

(C)Tom Hogan/Golden Boy
(C)Tom Hogan/Golden Boy

 オスカー・デラホーヤは、近くローチに2度目の世界戦を用意するか。彼はチャンスをモノに出来るか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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