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23戦全勝19KOの世界ライト級2位は140Pに転向か?

林壮一ノンフィクションライター
Tom Hogan/Golden Boy

 現地時間7月16日に米国ロスアンジェルス、クリプトドットコム・アリーナで行われたライアン・ガルシアvs.ハビエル・フォルトゥナ戦は、23歳の若手昇り龍が、33歳の元世界チャンピオンを6ラウンド37秒で一蹴した。

 この試合をプロモートしたゴールデンボーイ社のオスカー・デラホーヤは、フォルトゥナを"難敵"と評していたが、多少名の知られた過去の王者であり、ガルシアにとって安全な対戦相手に過ぎなかった。

Tom Hogan/Golden Boy
Tom Hogan/Golden Boy

 フォルトゥナは139.75パウンドで前日計量をパスしたが、過去に獲得した世界タイトルはWBAフェザー級暫定、WBAスーパーフェザー級であり、スーパーライトで戦うのは初めてだった。また、WBAスーパーフェザー級タイトルを手放したのは6年も前のことで、その後ライト級で2敗している。もはや峠を越えていることは、誰の目にも明らかだった。

Tom Hogan/Golden Boy
Tom Hogan/Golden Boy

 ガルシアは4回に左ボディーで、5回に左フックで、6回にはワンツー、左フックのコンビネーションでダウンを奪い、19度目のKO勝ちを飾った。

 LA在住の若きスターの勝利に会場は大いに盛り上がったが、冷静に見詰めれば両者の実力差は計り知れなかった。

 デラホーヤも現役時代はチューンナップ戦で、アルトゥロ・ガッティ、スティーブ・フォーブスなど、自分よりはるかに体の小さな相手を選んだことがあったが、ガルシアvs.フォルトゥナ戦も、そんな過去を思い起こさせた。

Tom Hogan/Golden Boy
Tom Hogan/Golden Boy

 試合後の記者会見でガルシアは、「スーパーライト級(140パウンド)で、ジャーボンテイ・デービス戦を希望する、もし実現しないなら同級でテオフィモ・ロペスとやりたい」と語った。

 デラホーヤもまた、デービス戦を実現させたいと公言している。

Tom Hogan/Golden Boy
Tom Hogan/Golden Boy

 ガルシアは確かに伸び盛りだ。が、ビッグネームとの対戦はデービスとは比較にならない。

 デラホーヤがどのような形でガルシアを扱い、試合交渉を進めていくかに注目したい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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