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かつては期待されたホワイトヘビーが2連敗の後に…

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 20勝(15KO)2敗のポーランド人ヘビー級ファイター、アダム・カナッキが7月30日に組まれたスーパーウエルター級戦、ダニー・ガルシアvs.ホセ・ベナビデス戦の前座に出場する。

 タプタプした三段腹ながら愛嬌のある風貌がファンに受け、世界ランキングの上位に顔を出したこともあるカナッキだが、ここ2試合は連続KOで敗れメッキが剥がれた。連敗は同一の相手ー-ロバート・ヘレニウスー-に喰らったものであり、現在、微妙な立ち場にいる。

Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions
Photo:Stephanie Trapp/TGB Promotions

 しかし、カナッキはリング復帰に勝算を感じているようだ。

 「今回は自分のリング生活において、最大のファイトとなる。勝って、ヘビー級戦線で生き残りたい。勝利のために、ハードな練習をこなす毎日だ。トレーニングキャンプでは、フットワークを一つの課題として取り組んでいる。ウラジミール・クリチコのキャンプに呼んでもらった際、彼の見事なフットワークに息を呑んだ。それを思い出しながら、真似ているんだ。

 ここ数年で2人の子供に恵まれた。己の人生が大きく変化したよ。自分を捧げることの意味を理解するようになった。

ヘレニウスとは実力差がかなりあった
ヘレニウスとは実力差がかなりあった写真:ロイター/アフロ

 ロバート・ヘレニウス戦後、彼について考えることは無い。自分のゴールは、いつだってベストを尽くすことなんだ。最初の目標はニューヨーク州のゴールデングローブ大会で優勝することだった。一年目で達成できた。今は世界ヘビー級タイトルを獲りたい。その為に前進しているんだよ。

 連勝した最初の20試合は良かったんだが、壁にぶち当たった。この30日に勝利して、もう一度自分の道を歩くよ。来年か再来年には、世界ヘビー級タイトルに挑みたい。

 ファンは有難いよね。ブルックリンのバークレイ・アリーナを(ポーランドの国旗である)白と赤で彩ってくれる。また、あの光景を目にすることが楽しみだ。彼らは、いつも自分と一緒に戦ってくれる。ファンとの再会も楽しみだね」

写真:ロイター/アフロ

 カナッキの対戦相手は、スーパーヘビー級のトルコ代表としてリオ五輪を経験したアリ・エレン・デミレゼン。

 190センチと、カナッキの身長とほぼ同じ。プロでの戦績は16勝(12KO)1敗で、WBO10位にランクされ、2020年以降5連勝中の危険な相手だ。

写真:ロイター/アフロ

 デミレゼンは言う。

 「またアメリカのリングに上がれることに幸せを感じます。今年の元日にマイアミでKO勝ちしてから、自信を持っています。ブルックリンでも素晴らしい試合をお見せしたいですね。

 アダム・カナッキがどんな戦い方をしてきても、凌駕しますよ。勝者となるのは僕です」

 トルコ人オリンピアンが17勝目を挙げるか、あるいは童顔のポーランド人ファイターが体を絞ってリングに上がるか。興味深い一戦だ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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