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4階級を制した男に挑むサウスポー

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Photo:Don King Productions

 WBOスーパーフェザー、WBCライト、WBAウエルター、WBAスーパーライトと4階級を制したエイドリアン・ブローナーと対戦する16勝(10KO)1敗1分けのブレア・コブス。

 来週金曜日のファイトに向け、コブスも公開練習に姿を現した。6月7日のメインイベンターは公開練習に同じジムを使用したが、無論、異なった時間に予定されていた。だが、ブローナーは、コブスがジムにやって来る時間になっても、同所を去ろうとはしなかった。どうしても相手を挑発したかったようだ。

 コブスはブローナーが発する言葉を聞き流しながら「もう、俺の時代だ!」と、繰り返した。

 この日のコブスの発言をご紹介しよう。

Photo:Don King Productions
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 「6月7日に自分の手が上がることが待ち切れない。俺はこの瞬間を、何年も辛抱強く待ってきた。完璧な準備ができているよ。エイドリアン・ブローナーは、俺にとって過去最強の、最もタフな相手だ。しかし、何が起こるのか分からない。俺はこれまでにないベストコンディションを作り上げたよ。我がチームのメンバー全員とトレーナーのジャスティン・ガンバーにとても感謝している。

 ブローナーの周囲に優れた選手がいたら、事態は少し奇妙になる。彼は、大きくて強い個性とエネルギーを秘めている。ヤツはそれに適応しなければならない。

 正直に言うと、俺は楽しい時間を過ごしているだけだ。このファイトは私怨が含まれたものではない。だから、個人的な戦いと捉えるには難しい。私はピエロ、彼もピエロ、そして我々は戦うのさ」

Photo:Don King Productions
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 コブスのトレーナー、ジャスティン・ガンバーも言った、

「私たちはブローナー戦に向け、十分なトレーニングをしました。彼のトレーナーとして、一緒に戦うのは初めてですが、2月から来る日も来る日も頑張ってきたんです。このキャンプでは、あらゆる努力をしてきました。

Photo:Don King Productions
Photo:Don King Productions

 ブランクの影響は私にもあります。これは2021年以来の復帰戦です。私たちにとって、今は学びのプロセスですが、同じ考え方をしているから、試合当日が楽しみです。ブローナーは厳しい試練に耐え、4度も世界チャンピオンとなった人です。それには十分な理由があります。

 彼は良いファイターです。私は、彼が年をとったとか体調が悪いとかという話に付き合うつもりはありません。我々が目指すところに到達するには、まずブローナー戦に集中しなければならないのです」

Photo:Don King Productions
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 北米タイトルを保持していたこともあるコブスだが、ベルトを失って4年以上が経過している。ドン・キングが、ブローナーの斬られ役としてコブスをセレクトしたのは明白だ。彼は、”咬ませ犬の牙”を見せられるか。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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