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呆気なく終わったWBCスーパーミドル級暫定王座決定戦

林壮一ノンフィクションライター
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 アリゾナ州グレンデールで現地時間21日に行われたWBCスーパーミドル級暫定王座決定戦は、以前、同タイトルを保持していたデビッド・ベナビデス(25)の圧勝に終わった。

 身長で7センチ、リーチで11センチもの差がある両者。体重オーバーでベルトを失ったものの、スーパーミドル級で王座に就いたことのあるベナビデスと、IBFミドル級チャンピオンだったデビッド・レミュー(33)では、サイズとパワーに大きな差があった。

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 第1ラウンド終盤、レミューをニュートラルコーナーに詰めたベナビデスが、25発もの連打を浴びせ、元IBFミドル級王者の腰が落ちる。

 辛うじてゴングに救われたものの、もはやこの時点で勝負はついていた。

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 地元の大声援に後押しされるベナビデスは、翌2回にも顔面への左アッパー、右ストレート、左ジャブのコンビネーションでレミューを沈める。元IBFミドル級王者がダウンを喫するのは、2007年のデビュー以来4度目のことであった。

 深いダメージを負ったレミューが接近戦で打ち負ける様を見たレフェリーが、第3ラウンド1分31秒で試合を止めた。

 ベナビデスは26戦全勝23KO、レミューは43勝(36KO)5敗となった。

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 ベナビデスは今回、放ったパンチの52パーセントをヒットさせた。快勝の後、彼は言った。

 「レミューは特別なタイプのファイターだ。最後の最後まで戦いを止めなかった。タフなチャンピオンだし、あのガッツには脱帽だ。ここまで粘る相手は初めてだったよ。

 俺は成長中だ。常に学んでおり、次のレベルにステップアップする。このまま進んでいくよ。今、168パウンド最強を目指している。ケイラブ・プラント、ジャーモール・チャーロ、デビッド・モレルらとの対戦を希望する。奴らからの返事を待っているところだ。全員、KOしてやるぜ」

(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 負け知らずながら、今回ベナビデスが暫定王座決定戦に出場したのは、体重オーバーでタイトルを剥奪された過去があるからだ。そればかりでなく、試合後の尿検査でコカイン使用が判明したこともある。

 ベナビデスが真のチャンピオンを目指すなら、まず己に克ねばならないようだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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