元WBA/WBC統一ウエルター級王者、931日ぶりのリングで勝利
2019年7月20日にスプリット・ディシジョンでマニー・パッキャオに敗れた元WBA/WBC統一ウエルター級チャンピオンのキース・サーマン(33)が、マリオ・バリオス(26)を下して再起した。実に931日ぶりのリングであった。
ファイトの前日、たまたまラスベガスまでの空路が、4階級を制したメキシコのレジェンド、エリック・モラレスと同じ便だった。彼も母国メディアの解説者として、試合を観るために現地入りしていた。
モラレスに試合の予想を訊ねると、「サーマンが勝つよ。経験もボクシングの完成度もバリオスより上だ。2年半以上のブランクがあっても、バリオスには負けないさ。判定じゃないかな…」という回答だった。
サーマンは試合前に「ブランクの影響は無い」と語っていたが、現役のトップ選手にとって931日とは長過ぎるのではないか、と私は感じていた。
https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20220115-00275604
しかし、ラウンドが進むにつれ、モラレスの見解が正しいと学ぶこととなる。
2021年6月26日、ジャーボンテイ・デービスにWBAスーパーライト級のベルトを奪われたマリオ・バリオスも攻めの姿勢を見せ続けたが、サーマンのディフェンスが上回る。
序盤は静かな立ち上がりだったが、3ラウンドからペースを握ったサーマンは、様々なアングルからパンチを出し、細かいステップでバリオスを翻弄した。7ラウンドには両者の差がクッキリと浮かび上がり、バリオスの空振りが目立つようになる。
結局、117-111と118-110のスコアが2名で、サーマンが勝利を掴んだ。
「今夜はメキシカン戦士である自分の血を見せようと戦いましたが、キース・サーマンにはただただ脱帽です。彼こそが勇者です。ファンには喜んで頂けたかと思うのですが…」
26勝(17KO)2敗となったバリオスは言った。
30戦(22KO)1敗と、黒星はパックマンに喫した1試合のみのサーマンも述べた。
「キャリアにおける最高のパフォーマンスを披露したかったんだが、自己評価するならC+かB-だな。まぁ、バリオスを圧倒したことは間違いない。ダウンを奪えなかったし、KO勝ちもできなかったけれど、素晴らしいファイトはお見せ出来たんじゃないかな。ベルトが欲しいよ。チャンピオンに返り咲いてみせる。必ず!」
バリオスはウエルター級にしては線が細く、パワー不足の印象だ。モラレスは、そこを見抜いていたのか。私がスペイン語を話せたら、もっとあれこれコメントを得られたのに…と悔いが残っている。
カムバック戦で勝利したキース・サーマンは、下のクラスから転向したバリオスには勝てた。が、昨年8月21日のヨルデニス・ウガスvs.マニー・パッキャオ戦と比較すると、レベルの差を感じざるを得ない。サーマンは、今後ウエルター級で生き残れるだろうか。