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2月5日、再起に懸ける元世界チャンプ同士の潰し合い

林壮一ノンフィクションライター
バリオス  Photo:Westcott/SHOWTIME

 トップファイターが再起戦で潰し合う----。2月5日にラスベガス、マンダレイ・ベイで催される一戦から目が離せない。

 2019年7月20日、マニー・パッキャオにスプリット・ディシジョンで敗れたキース・サーマンと、2021年6月26日にジャーボンテイ・デービスにベルトを奪われたマリオ・バリオスが対峙する。

 元WBA/WBC統一ウエルター級チャンピオンで、29勝(22KO)1敗のサーマンと、26勝(17KO)1敗の元WBAスーパーライト級王者、バリオス。負けた方が2連敗となるサバイバルマッチだ。

 この試合が決まった際の、両者の言葉をご紹介しよう。

パッキャオ戦のサーマン
パッキャオ戦のサーマン写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 キース・サーマンは語った。

 「長く離れていたので、リングに戻れることが楽しみで仕方ない。とても幸せを感じているよ。もう傷も癒えたし、体の状態はいい。ラスベガスのファンを喜ばせるパフォーマンスを見せたいね。

 ブランクは作ったけれど、人生においてはそんな時間も必要だな。心を落ち着かせて何時間も瞑想したり、生きるうえで優先すべきものを熟考したりもした。カムバックの日程が決まって、いかに自分がボクシングを愛しているかを実感しているところだよ。

 実際のところ、対戦相手に複数の候補が挙がった。バリオスの名を聞いた時、面白い、是非とも戦いたいと思った。

 プレッシャーは尊いものさ。ダイヤモンドとなる。バリオスや俺のようなタイプは、常々輝きたいと願っている。だからこその重圧もある。それが勇者進むべき道さ。この試合は挑戦だな。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 2019年にマニー・パッキャオと戦った理由は、自分が最もエキサイト出来る相手だったからさ。今回は、自信をたっぷりにリングに上がれる。

 俺を下さすにウエルター級で名を残すのは不可能だ。どちらかが敗者になるが、我々は自分の価値を証明することとなるだろう。共にこの階級のトップ選手だからね。2月5日、新たな物語が生まれるんだよ。闘志が燃え上がっている。俺は四六時中ボクシングのことを考えているし、競い合うために生まれた男だ。

 もう一度、頂点まで這い上がってやるさ」

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 バリオスも話した。

 「カムバックを決めてから、多くの時間をジムで過ごしています。もっと早く再起したい思いもありましたが、決まって嬉しいですね。パーフェクトな状態でリングに上がりますよ。なかなか自分のファイトがPPVで放送される選手っていませんよね。2試合連続でそんな機会を与えてもらって非常に光栄です。

 ラスベガスでのファイトというのは心が躍りますね。まだ私は26歳で、いくらでも伸びると感じています。ウエルター級に上げて、名選手と戦うのですからワクワクしています。

 正直なところ、ジャーボンテイ・デービス戦の前から、スーパーライト級に体重を落とすのは難しかったんです。だから増量への躊躇はまったくありませんでした。また、ウエルター級転向第1戦で、簡単な相手を選ぶのも嫌でした。素晴らしい試合をするためにも、実力者と拳を交えたかった。サーマンはウエルター級でベストファイターの一人です。だからこそ、心が躍るんですよ。

 彼と僕なら、年間最高試合を創り出す可能性も十分ありますよ。ウエルターでの方が、私はいい動きが出来ます。機敏さ、スタミナ共に私の能力は147パウンドの方が生きるでしょう。

 自分はボクシング界でベストファイターになりたい。今がピークですよ」

写真:ロイター/アフロ

 2月5日、ラスベガスは大いに盛り上がるに違いない。好ファイトを期待する。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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