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10日後にWBCフェザー級タイトルマッチを戦う両者

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 1月22日セットされたWBCフェザー級タイトルマッチ、ゲーリー・ラッセル・ジュニアvs.マーク・マグサヨ戦。その10日前に、両者のオンライン会見が開かれた。

 2015年3月28日に同王座に就いたチャンピオンのラッセルは、アマチュア時代に数々のタイトルを獲得し、北京五輪代表の座を勝ち取った。だが、五輪本番では体調不良でリングに立てず、プロに転向。目下、31勝(18KO)1敗である。

 プロ生活唯一の黒星は、2014年6月21日に行われたWBOフェザー級王座決定戦で、ワシル・ロマチェンコに判定負けしたものだ。現在5度防衛中で、安定した試合運びを見せるサウスポーだ。

アマ時代のゲーリー・ラッセル・ジュニア
アマ時代のゲーリー・ラッセル・ジュニア写真:ロイター/アフロ

 チャンピオン、ゲーリー・ラッセル・ジュニアは語った。

 「俺はリング外で感じる全ての物を、燃料にできる。親父や弟とも話すけれど、最高のコンディションを作るって、本当に難しいんだ。でも、ボクシングが好きなら、自分を律しなければ。

 ガードを上げて顎を守ることも大切だ。世界チャンピオンには逆境を乗り越えてこそなれる。強い精神力が必要とされるね。今、トレーニングキャンプで心技体を磨きに磨いているところさ。

 俺はこれまで、いつでも、どこでも、誰とでも喜んで戦ってきたよ。いつだって、自分の能力を最大限に発揮すべく準備している。

 マグサヨの直近の試合を目にした。パワーがあるね。ちょっと右に頼り過ぎているかな。特別な対策は立てちゃいない。彼の8月のファイトは、なかなかお目に掛かれない逆転KOだったな。ポイントをリードされていたのに、脱帽と言っていい勝利だった。肉体面も精神面を鑑みても、ベストな挑戦者じゃないかな。

 ただ、誰も俺に対して完璧な準備はできないさ。俺は予想を遥かに上回る戦いをするからな。

 誰に対しても過大評価はしないが、ジャーボンテイ・デービスとは戦いたいね。今はもちろん、マーク・マグサヨ戦に集中しているけれど……。デービスこそ、俺と戦うに相応しい男だって感じるんだ」

パッキャオのラストマッチの前座で逆転KO勝ちを収め喜びを爆発させたマグサヨ
パッキャオのラストマッチの前座で逆転KO勝ちを収め喜びを爆発させたマグサヨ写真:REX/アフロ

 昨年8月21日のフリオ・セハ戦で、ダウンの応酬を制して評価を高め、世界タイトル挑戦に漕ぎ着けたフィリピン人ファイター、23戦全勝16KOのマーク・マグサヨも言った。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210827-00254761

 「試合を実現させてくれた全ての人にお礼を述べます。この世界戦に向け3カ月半を費やし、周到な準備を続けてきました。

 ゲーリーは王座に就いてから、私レベルの選手との対戦はありません。ファンの皆さんも、過去にない彼のリアクションを目にするでしょう。

 私はセハ戦で、実に多くのことを学びました。中盤、いかに試合の流れを手繰り寄せるかのレッスンを受けたと思っています。その経験がラッセル戦に結び付くことでしょう。

写真:REX/アフロ

 私はゲーリー・ラッセル・ジュニアを尊敬しています。偉大なチャンピオンですよ。でも、22日は必ず私が勝者となります。フェザー級最強が私であることを証明してみせますよ。その日をずっと待ち望んでいましたし、チャンスを掴むまで耐えてきました。ラッセルより強い選手になるために、フレディ・ローチの指導を受け、多くの技術を習得しているところです。

 私はマニー・パッキャオ2世になろうとは思っていません。私の名をボクシング史に残したいです。そんな夢を、長く渇望してきました。

 自分にとって初の世界タイトルマッチに全てを出し尽くします。素晴らしいファイトをして、チャンピオンになってみせますよ」

写真:Shutterstock/アフロ

 22日、ニュージャージー州アトランティックシティーでゴングが鳴る。どんな展開となるだろうか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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