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浦和レッズの背番号18に期待!

林壮一ノンフィクションライター
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 2015年1月12日、埼玉スタジアム2002が4万6316人の観衆で埋まった全国高校サッカー選手権大会決勝は、星稜高校(石川)が延長で前橋育英高校(群馬)を下した。スコアは4-2。

 私にとって、この試合で最も印象に残った選手は、66分からフィールドに立った前橋育英高の背番号8、小泉佳穂だった。勝利した星稜高のメンバー以上に存在感があった。

 視野が広く、鋭いロングボールを前線に送っていたことを記憶している。

 試合後の記者会見で挙手し、私は前橋育英高の山田耕介監督に訊ねた。

ーーー個人的には8番の小泉選手のプレーが光っていたと感じました。彼を頭から使おうという選択肢はなかったのでしょうか?

 山田監督は言葉を選びながら「そこは迷いに迷いました。夏以降、彼には途中からチャンスを作る役割を与えたのです…」と答えた。

 記者会見後、ミックスゾーンで小泉選手を待ったが、全員が同じウインドブレーカーを着ており、そのうえマスクをしているので、誰が誰だか分からない。係の方に「8番の小泉選手からコメントを取りたいのですが」と告げると、大声で名前を呼んでくれ、彼が近付いて来てくれた。

 小泉選手は高校生活最後の大会に、スターティングで出たかった筈である。だが、「チームの為に、出来うる限りのことをするのが仕事だと思っていますから」と、爽やかに応じた。青山学院大に進学し、サッカーを続けるとも語った。

写真:森田直樹/アフロスポーツ

 FC琉球を経て、今季からJ1の舞台にステップアップし、埼玉スタジアムで躍動する小泉選手を見ていると、高校時代の姿が蘇る。

 本コーナーで度々コメントを頂戴している元アルゼンチンユース代表で、浦和レッズの育成年代のコーチを務めたセルヒオ・エスクデロにも小泉選手について訊ねると、こんな感想だった。

 「レッズに移籍してからすぐにレギュラーになりましたね。体はそんなに強い方じゃないと思いますが、ドリブルいいし、得点もたまに取れますし、面白いです。ディフェンスも頑張っているし、これからの選手でしょう」

写真:アフロスポーツ

 今季、カップ戦を含め、27試合にスタメン起用されている24歳の小泉選手。更なる飛躍を期待したい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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