Yahoo!ニュース

アルゼンチン人コーチが語った「カタールW杯アジア最終予選のサムライブルー」

林壮一ノンフィクションライター
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、チェンマイ・ユナイテッド(タイ1部リーグ)所属のエスクデロ競飛王。

 自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。

 2019年末から、川越市のフットサル場で自らスクールを始め、今日、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとして指揮を執る彼が、日本代表vs.オマーン代表戦(9月2日)、日本代表vs.中国代表戦(9月8日)について語った。

撮影:著者
撮影:著者

 2日のオマーン戦での日本代表はいいところが無かったですね。森保一監督が、「オマーンが引いて守り、カウンターでやられた」というようなことを語っていましたが、本当にそうだったでしょうか? 

 オマーンは攻めていましたし、コーナーキックももらっていました。単に日本の実力が足りないから0-1で負けた、と僕は思います。

 ボランチの柴崎岳、遠藤航、MFの原口元気と顔ぶれはいいんです。でも、ピッチで何をしたいのかが見えない。非常にちぐはぐな印象を受けました。

写真:ロイター/アフロ

 今日、中国には1-0で勝ちましたね。勝ち点3を得たことは良かったです。が、中国が先日0-3でオーストラリアに負けたことを忘れてはいけません。その中国と日本に、今や差が無くなってしまいました。

 サイドバックは攻撃するのか、まずはしっかり守るのか。長友佑都が何度かアーリークロスを入れましたが、もっと深く抉ってピンポイントのクロスを上げるのが、彼の良さだった筈です。どういう意図なんだろう? と思いながら見ていました。

 中国戦はリズムが悪かったですね。

写真:ロイター/アフロ

 今、日本で一番いいサッカーを見せているチームはどこでしょう? 川崎フロンターレですよね。何故、フロンターレの選手をもっと代表に呼ばないのかが不思議でしょうがないです。

 フロンターレが好調を維持する原動力となっている、小林悠、家長昭博、谷口彰悟、そしてベルギーに行ってしまいましたが三笘薫、彼ら4人を代表の中心に据えたらいいと思います。

エスクデロが評価する小林悠
エスクデロが評価する小林悠写真:YUTAKA/アフロスポーツ

 中村俊輔、遠藤保仁、本田圭佑、香川真司、岡崎慎司らがいた頃の代表チームよりも、今日のサムライブルーはレベルが落ちたと言わざるを得ません。

 日本代表はカタール・ワールドカップに出場できるでしょう。でも、ベスト8入りを期待できるようには、とても思えません。

 今の日本代表と川崎フロンターレを比較したら、川崎の方がよっぽど強いでしょう。

 日本のサッカーが成長している姿を見せてほしいです。いや、見せなきゃダメですよ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事