Yahoo!ニュース

2階級制覇王者が踏み台に……

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Sean Michael Ham/PBC

 11勝(7KO)2敗の23歳、ルーク・サンタマリアの相手に抜擢されたのは、2014年12月13日以降、6度リングに上がり、1勝4敗1分けの元世界チャンプだった。スーパーライトではWBCとIBFを統一し、ウエルターでもIBFタイトルを獲得したキャリア十分のベテランである。

 34歳となったデボン・アレクサンダーは、ティモシー・ブラッドリー・ジュニア、アミール・カーン、ビクター・オルティスなどと対戦経験があるが、既に峠を越えた感は否めない。

Photo:Sean Michael Ham/PBC
Photo:Sean Michael Ham/PBC

 元チャンプは2回と5回に意地を見せたものの、試合はワンサイドとなった。サンタマリアのフットワークは良く、手数でも圧倒した。サウスポーであるアレクサンダーに対し、ファーストラウンドと第9ラウンドに放った左フックのカウンターは、哀しいかな新旧交代を告げていた。

Photo:Sean Michael Ham/PBC
Photo:Sean Michael Ham/PBC

 結局、97-93、98-92、98-92で23歳が判定勝ちを収めた。試合後、サンタマリアは言った。

 「勝利のカギは俺の速い足だった。相手は左ストレートを打ってきたが、俺が動くので的が定まらなかったね。自分はフットワークに自信を持っているんだ。

 この試合を実現してくれたデボンに感謝する。彼は偉大な選手だよね。これから俺は、更に自分の存在を輝かせてみせる」

Photo:Sean Michael Ham/PBC
Photo:Sean Michael Ham/PBC

 敗者は語った。

 「初回に右の上腕二頭筋を痛めてしまった。ケガによって攻撃が出来なくなった。何とか試合をひっくり返したかったんだが……。自分に失望したよ」

Photo:Sean Michael Ham/PBC
Photo:Sean Michael Ham/PBC

 元チャンピオンの戦績は27戦(14KO)7敗1分けとなった。今後、どんなリング生活を歩むのか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事