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21日のエロール・スペンス・ジュニア戦に向け、パッキャオが練習を公開

林壮一ノンフィクションライター
(C) Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 8月21日に、PACMANことマニー・パッキャオ(42)は、WBC/IBFウエルター級チャンピオンのエロール・スペンス・ジュニア(31)と対戦する。場所はネバダ州ラスベガス、T-Mobileアリーナ。

 現地時間の4日、PACMANが練習を公開し、現在の心境を語った。

(C) Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C) Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 42歳という年齢を感じさせない身体。それ以上に驚かされる勝利への渇望。パッキャオは今回のキャンプを楽しんでいるようにも見える。

 彼は言った。

 「42歳にして私がどれだけのパフォーマンスを演じられるかを、お見せするよ。いい試合になるだろうね。スペンスは非常に攻撃的な選手。ファンは、我々が繰り出す多くの駆け引きを、楽しむことになるだろう。この試合において、自分には無数のアドバンテージがある。スピード、パワー、戦術、そして経験。

 キャリアをスタートした頃の私は、こんな場所まで上って来られるとは思っていなかった。常にベストを尽くし、闘い続けた結果、ギフトを受けたと感じている」

(C) Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C) Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 「2年ぶりのリングとなるが、いい休息だった。体も心もリフレッシュし、若さが蘇った感がある。過去に私は、簡単な対戦相手を選ぶこともできた。でも、いつだって、その時点で最強の敵と闘ってきた。何かを成し遂げたいという気持ちが常にあったから、自分を証明しなければならなかったんだ。

 我がチームはサウスポーの攻略法を理解している。スペンスは真正面からの打ち合いを望むだろう。こちらとしては、それがありがたい。また、彼はリーチを活かすに違いない。その対応もバッチリだ。どんな状況にも応じられる準備をしている」

(C) Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C) Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 「自分にとって、これが最後のファイトになるかもしれないし、もっと闘うかもしれない。ただ、いつも言うように、人生の一部なんだ。試合後のことは、その時にまた考えるさ。

 私のキャリアが終わっても、次世代の選手たちが、足跡を追ってくれるだろう。自分にとってそれは非常に大切なことなんだ」

(C) Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
(C) Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 「コーチングスタッフの顔ぶれが15年も変わらず、私をサポートしてくれていることにも感謝している。また、幸せを感じる。今回も闘志の漲るトレーニングキャンプを張っているよ」

PACMANの参謀、フレディ・ローチ (C) Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
PACMANの参謀、フレディ・ローチ (C) Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 トレーナーとしてパッキャオと苦楽を共にしてきたフレディ・ローチも言った。ローチは、PACMANの成功に欠かせなかった指導者である。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210626-00243192

 「エロール・スペンス・ジュニアがベストファイターだからこそ、この試合を実現させました。私は『これまで通り、最強の敵と闘うべきだ』とアドバイスしていたんです。それが、彼を今の地位に立たせているからです。

 マニーは昨日、10ラウンドのスパーリングを行い、2度パートナーをダウンさせました。10年前のような光景でしたよ。非常にいい状態です。ウエルター級ではパンチがある方ではありませんが、倒せますよ。

 スペンスはいい選手で、パンチもあります。ショートレンジでの打ち合いとなるでしょう。マニーは賢く闘い、自分の距離で、速いコンビネーションを打つ必要がありますね。マニーはサウスポーを得意としていますし、どのように闘うかも十分に理解しています。だからこそ、この試合にサインしたのです。

 個人的にはマニーがスペンスを捌き切ると予想しています。彼のフットワークは信じ難いレベルです。それに速い」

 マニー・パッキャオという選手は、ボクサーとして卓越した存在であるだけでなく、その生き様でもファンを魅了してきた。今回のファイトでは、何を見せるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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