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逆転KOでWBAライト級挑戦者決定戦を制した21戦全勝の23歳

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 ドミニカ人の若者は、髪型、トランクス、シューズと、あの“ザ・グレイティスト”モハメド・アリを真似ていた。

 とはいえ、中間距離での打ち合いを好み、「蝶のように舞い、ハチのように刺す」という戦いぶりではない。フットワークとジャブに“ザ・グレイティスト”のような華麗さや鋭さは無い。

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 ミッシェル・リベラ(23)。デビュー以来無傷の20連勝(13KO)中だったリベラは2019年6月21日に米国デビューを果たし、本場での6戦目のファイトを迎えた。

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
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 WBAライト級挑戦者決定戦としてジョン・フェルナンデス(21勝1敗18KO)と対峙したリベラは、6ラウンド1分24秒に右ストレートをボディに喰らったところでバランスを崩し、ダウンを喫する。

 が、ベルトラインにアリの名を刻んでいるだけあって、リベラはハートの強さを見せた。ひたすら前に出て打ち合う。

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
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 そして、第8ラウンド2分27秒にワンツーをぶち込み、あっさりとKO勝ちを飾った。フェルナンデスはうつ伏せに倒れ、起き上がりかけたがカウントアウトされた。

 「この勝利は、本当に嬉しい。フェルナンデスは強く、経験豊富な選手。思った以上のプレッシャーを掛けてきたので、こちらもそれに対応する必要があった」

 リベラは試合後、そう語った。

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
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 祖国を離れ、フロリダ州マイアミに移り住んでトレーニングを重ねるリベラは、次戦の相手としてWBA暫定王者のローランド・ロメロとのファイトを希望し、「その後は、ジャーボンテイ・デービスかテオフィモ・ロペスと戦いたい」と結んだ。

 アリを意識した外見でノックアウトを見せれば、確かに客は沸く。ただ、上を目指すためにはディフェンス面を磨いてほしい。度胸は申し分なさそうなリベラが、今後、一皮剥けることを期待したい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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