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初回KOでWBAスーパーミドル級タイトルを防衛したサウスポーのキューバ人王者

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions

 5戦全勝4KOのチャンピオン、デビッド・モレル・ジュニア(23)に、12戦全勝5KOのマリオ・カザレス(30)が挑んだWBAスーパーミドル級タイトルマッチは、ファーストラウンド2分32秒で決着がついた。

Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions
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 サウスポーのチャンピオンと、オーソドックスの挑戦者は、共にジャブから試合を組み立てず、力のこもったストレートをヒットする策だった。

 1ラウンド中盤にカザレスがローブローを見舞うと、モレルもお返しとばかりにクリンチの際にラビットパンチを繰り返す。

Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions

 そして迎えた2分23秒、チャンピオンの左ストレートを浴びたカザレスが腰を落としたところに、追い打ちをかけるようにモレルが2発目の左ストレートをぶち込む。

 レフェリーは、リング上で大の字になったカザレスにカウントを数えることも無く、試合終了を宣言した。

Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions

 勝者は語った。

 「こんなに早く試合を終わらせられるとは、思ってもみなかった。6~7ラウンドでKOしてやろうと思っていたんだよ。でも、カザレスとグローブを合わせてみて、俺のレベルじゃないな、と感じた。

 序盤は彼の力量を観察した。ちょっとパンチを当てたら、もうグラついていたので完璧なKOを飾ってやろうと考えたね」

Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions

 「168パウンドの選手、誰とでも戦う。IBF王者のカレブ・プラントとやりたい。いつでもOKだ。彼はいい選手で、倒し甲斐があるよ」

 快勝したデビッド・モレル・ジュニアだが、昨年末のファイトでは課題も見せた。手打ちが多く、肉体的なアドバンテージを活かし切れていなかった。

 カザレス戦で自信を得たモレルだが、カレブ・プラントは侮れない。果たして、どんな道を歩んでいくのか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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