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「出過ぎた杭は打たれない?」"KING"レブロン

林壮一ノンフィクションライター
PlayOff第1戦のレイカーズは90-99で敗れた(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今季のPlayOffを黒星でスタートした"KING"レブロン・ジェームズだが、NBAが定めたコロナ対策に違反していたことが判明した。

 KINGは、現地時間5月19日に行われた、ゴールデンステイト・ウォリアーズとのプレイイン・トーナメントの前に、人気俳優のマイケル・B・ジョーダンらと共にテキーラブランド「Lobos1707」のイベントに参加した。屋外のイベントに出席するのであれば、ワクチンの接種証明や、PCR検査で陰性であることをNBAに出す必要がある。が、レブロンはこれを怠り、マスク無し姿の写真がSNSに載ったことが問題視されていた。

5/23のレブロンは18得点7リバウンド10アシスト
5/23のレブロンは18得点7リバウンド10アシスト写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 4月19日に15名以上が集うマイアミのストリップバーを訪れたとして、同様にNBAのコロナ対策違反に問われたヒューストン・ロケッツのケビン・ポーター・ジュニアは、5万ドルの罰金を命じられた。KINGにも、何らかのペナルティが科せられるのではないか? と報じたメディアもあった。しかし私は、おそらく深刻な問題にはならないだろうと見ていた。

 現地時間の5月22日、NBAは以下の声明を出した。

 「医療専門家と協議した結果、レブロン・ジェームズのイベント出席は、COVID-19蔓延へのリスク無しと判断されたため、検疫は不要であるとしました。

 今シーズン、リーグの安全衛生プロトコルに関する違反が数多くありましたが、これらの違反は選手、及びチームによって対応がなされております。

 今日のNBA規則では、予防接種を受けたプレイヤーはスポンサー企業への(イベント等の)出演や、広告撮影など、個々のビジネスを含む外部活動への参加が認められています」

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 今季、3月20日のアトランタ・ホークス戦で右足首を捻挫し、6週間欠場したレブロンだが、彼がいるといないでは、PlayOffの盛り上がり方がまったく違う。唯一無二のプレイヤーであるばかりでなく、KINGがこれまでに黒い肌に関して語ってきたことや、教育的サポートなどを含むアメリカ社会への貢献には、NBAも十二分に恩恵を受けている。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 レブロンが、実際にワクチン接種証明やPCR検査の陰性証明の提出を失念していたのであれば、確かにプロトコル違反となるであろう。が、本件がクリアされた事実にも、KINGの発言として有名な「Nothing is given. Everything is earned(与えられたものなどない。全て掴み取ったんだ)」が当て嵌まるように思える。

 KING率いるロスアンジェルス・レイカーズは、日本時間の今日、午前11時ティップオフでフィニックス・サンズとの第2戦を迎える。右足首のケガの回復が気になるが、KINGの闘いに注目だ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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