WBAライトフライ級スーパー王者、京口紘人インタビュー「ダラスでの防衛戦を終えて」
WBAライトフライ級スーパー王座の京口紘人(27)。3月13日に米国テキサス州ダラスにて、同タイトル3度目の防衛戦を行い、5ラウンド1分32秒でTKO勝ちを収めた。これで京口の戦績は、15戦全勝10KOとなった。
京口は昨年11月3日に、故郷である大阪での世界タイトルマッチが決まっていた。が、新型コロナウィルスに感染してしまい、試合中止となる。同時にプロデビュー前から共に歩んで来たトレーナーがジムを去り、新たな一歩を踏み出すこととなった。
https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20201122-00208845/
昨年末、英国のプロモート会社である「マッチルーム」と契約し、今年は米国での試合が中心となりそうだ。
京口は本場での防衛戦を振り返る。
「コロナ禍でありながら、試合が出来る環境を作ってくれたマッチルームやジムのスタッフに感謝しています。勝てて良かったですよ。挑戦者のアクセル・アラゴン・ベガは10位でしたが、ランキング以上に良い選手でした。
あれだけ身長差のある相手(ベガは147センチ)との試合は初めてでしたので、低い的を意識して準備しました。自分のペースになって来たかな、というところで終わってしまいましたが……」
ベガの右フックが京口の左側頭部に当たった直後、挑戦者は右拳の痛みに悶絶し、チャンピオンに背を向けて戦意喪失。そこで試合終了となる。
「呆気ない終わり方でしたし、特に何かを得たとか、自信を持ったってこともありません。これで満足はしていませんから。上のステージに行くための過程だと思っています。いずれはアメリカで、もっと大きな興行に出たいです」
京口が中学生時代に辰吉丈一郎から指導を受け、得意とする左ボディアッパーをマスターしたことはよく知られてるが、その辰吉が保持していたWBCバンタム級タイトルに挑んだ名選手、ポーリー・アヤラの住む街こそ、ベガ戦が行われたテキサス州ダラスである。
「じっくり街を散策する時間は無かったのですが、道路も広く、試合会場も派手でしたね。リングアナウンサーやアリーナの演出もスケールが大きかったです。日本では、選手を応援するためにチケットを購入する方が多いように感じますが、アメリカはボクシングが好きだから会場に足を運ぶファンばかりだな、という印象を持ちました。お客さんの目が肥えていますね。
だから自分にとっては、チャンスだと思います。いいボクシングをすれば、それだけの評価を得られる。ライトフライ級という軽いクラスでも、価値を見出してくれる可能性がある訳です。マイケル・カルバハルとウンベルト・“チキータ”・ゴンザレスは3度戦いましたが、2戦目で両者のファイトマネーが100万ドルを超えたんですよね。やるからには自分もそこを目指して、目の前の試合に勝ち、アメリカのファンを増やしていきたいです」
1993年3月13日、IBFライトフライ級王座を6度防衛したカルバハルは、WBCチャンプのウンベルト・“チキータ”・ゴンザレスとの統一戦に勝利した。1年8カ月後のリターンマッチでカルバハルは敗れたが、両ファイターはそれぞれ100万ドル強を稼いだ。
既に次の試合に向けて動き始めた京口だが、その流れるような動きはワンランク上がった感がある。
ミットを持つ新たなトレーナー、小口忠寬は言った。
「もう完成された選手ですから、特に教えることは無いんです。モチベーションを上げて、気持ち良く練習に向かえるように、と考えています。コンビネーションの流れが良くなりましたね。バランス、リズム感ともに申し分無いです。試合中に考えて動くのではなく、体が自然と反応するようにもっていきたいですね」
先日、京口の父、寛さんが食道癌の手術を受けた。
「ちょうど、アメリカから帰国した日(3月15日)に手術が成功したと聞かされました。自分の勝利が父の力にもなると思いますから、今後もいい知らせを届けたいです」
京口の更なる飛躍を期待したい。