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もう”太っちょ”じゃない? 元統一ヘビー級チャンピオンが奉仕活動

林壮一ノンフィクションライター
C)Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 5月1日に再起戦を控えたアンディ・ルイス・ジュニアが、先日ラスベガスで催された奉仕活動に参加した。恵まれない家庭に対して用意した生活用品や雑貨などが詰まった500個のバッグの配布に一役買ったもの。

 現WBC世界ヘビー級チャンピオンのタイソン・フューリーや、元ジュニアミドル級世界王者のフェルナンド・バルガスらと共に、笑顔を見せた。

Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 ルイスは言う。

 「このような機会は、実に貴重だね。自分が心底愛しているメキシコ人コミュニティーにとっても、非常に重要なイベントだと思っている。俺に出来ることをやろうと考えたんだ。

 人生において、不可能なことは無いと信じている。俺が世界ヘビー級チャンプになるなんて、誰も信じていなかっただろう? でも、結果的にはメキシカン初の世界ヘビー級王者になれた」

 ルイスは、予てからチャリティーに力を注いでいる。ハンディキャップを持つ少年少女の団体にも積極的に足を運び、交流する。この日も500のバッグを配り終えた後、そちらに向かった。タイトルを失った2019年12月のファイト前も、開催地となったサウジアラビアで同様の施設を訪問している。

 国際ボクシング殿堂の式典中にもこうしたメニューは毎年必ず組まれており、拳豪たちはリング内外で人間としての大きさを見せる。

Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 間もなくキャンプを打ち上げるルイスは話した。

 「素晴らしい状態でカムバック出来る。ジムでの動きは最高だよ。新たにトレーナーをお願いしたエディ・レイノソは、数多くのチャンピオンと仕事をしているだけあって、いかに自分を律するか、ボクシングに人生を捧げるかを理解させてくれた。自分に足りなかったものが分かったし、やるべきことも理解できた。だからこそ、自分が変われたと感じている。

 最も大きな変化は、ボクシングに対する姿勢だね。それは金で買えるものじゃない。自分で望み、自分で気付かねばならないんだ。エディから習った全てのパンチ、そして動きをリングで完璧にやりたい。体重を落とし、これまで使っていなかった自分の能力を発見した部分もある。この体重なら、過去に出来なかったコンビネーションや、未知の角度からのパンチを放てる。本当に5月1日が楽しみで仕方ないよ」

Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Photo:Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 「(対戦相手の)クリス・アレオラとは、俺が16歳の時にスパーリングをしたんだよ。同じメキシコ系ってことで、目指すものも夢も一緒だったね。お互い、いいキャリアを積んで来た。ずっと父から『いつの日か、戦うことになる相手だ』って言われて来たから、ついにって感じかな。

 アレオラもかなり練習を積んでいるようだね。調子も良さそうじゃん。ハイレベルなファイトになるだろうよ。

 今、毎日ジムに行くのが楽しいんだ。自然と笑みが出て来る。こんな経験は初めてだよ。それだけ充実しているってことさ。以前とはメンタルが違う。それはライフスタイルにも結び付くよな」

 確かに、見た目はかなりスリムになった元WBA/IBF/WBO統一ヘビー級王者。果たして何パウンドの体でリングに上がるか? ”変わった”そのスタイルを目にするのが楽しみだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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