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AWAY連戦で垣間見られた「人の子だった"KING"レブロン」

林壮一ノンフィクションライター
やはりKINGの存在感は図抜けている(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 1月27日のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦、翌28日のデトロイト・ピストンズ戦における連敗により、昨季の王者、ロスアンジェルス・レイカースは西地区首位の座を明け渡した。

 米国西時間2月6日の午前7時現在、同地区3位に甘んじている。

デトロイトでは、不発に終わったKING
デトロイトでは、不発に終わったKING写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 特に、ピストンズ戦における”KING”レブロンのパフォーマンスは、メディアをざわつかせた。前半7本のシュートを決めながら、後半に入ってからペースダウン。12本中1本しかシュートが入らなかった。その結果、昨シーズンの王者は、東地区で下から2位のピストンズに敗れた。

 しかも、92-107の大敗だった。

 昨シーズン、自身4度目となるNBA王座に就いた日から71日間しかオフが無かったことで疲れているのか? あるいは、36歳という年齢からくる衰えか? などと囁かれた。

 KINGはピストンズ戦後、「疲れじゃない。俺は疲れなど感じちゃいない。ぐっすり眠ってきちんと休んでいる。エネルギーが漲っているし、アウェイの試合が続くからって、心身ともに疲弊することなんてないさ」と報道陣に語った。

1月30日、1点差でセルティックスを下した
1月30日、1点差でセルティックスを下した写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 デトロイト戦から中1日でボストンに降り立ち、レイカースにとって長年のライバルであるセルティックスを相手にしたレブロンは、自軍で最長となる37分22秒プレーした。

 ネガティブな声を払拭したかったに違いないが、セルティックスも力のあるチーム。96-95で勝利したものの、KINGはいつもの爆発力を見せられず、21得点7リバウンド7アシストであった。

 勝利に貢献したことは間違いないが、同僚のアンソニー・デイビスが27得点、セルティックスのジェイソン・テイタムが30得点、ジェイレン・ブラウンが28得点したため、唯一無二の男である本来のレブロンは影を潜めた。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 2月1日、アトランタ・ホークスとのゲームで、レイカースは107-99で勝利する。このゲームでのレブロンは21得点7リバウンド9アシスト。無論、自らも得点を狙ったが、周囲を使う様が印象的だった。特に、チーム最多となる25得点を挙げたアンソニー・デイビスを上手く生かした。

 アシスト9はレイカースのハイ。ピストンズ戦でシュートを外しまくったことを反省し、配給役に回ったようにも見えた。

 この夜のアトランタには、1017人の観客が入った。ファンの前で白星を挙げたKINGは、笑みを浮かべながら言った。

 「ファンが立ち上がる姿を見るのはいいね。お客さんがアリーナに戻って来たことに、幸せを感じる。選手とファンの交流が恋しかった。俺には彼らの声が必要なんだ」

ナゲッツから逆転勝利を収めたレイカース
ナゲッツから逆転勝利を収めたレイカース写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 2月4日のデンバー・ナゲッツ戦でのレブロンは、27得点10リバウンド10アシストで、自身96度目のトリプルダブルを達成。ゲームも114-93で圧勝した。

 ハーフタイム時には12点差でリードされていたが、後半に試合をひっくり返し、王者の貫禄を見せ付けた。

 「我がチームのディフェンスに脱帽だ。レイカースはリーグでナンバーワンの守備を誇る。今後もこれを続けていきたい」

 KINGは試合後、そう振り返った。

他スター選手の追随を許さない
他スター選手の追随を許さない写真:代表撮影/USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 レイカースは目下、17勝6敗。今夜のゲームは、因縁の相手、ピストンズだ。1月28日のゲームはフロックだったのか、または相性が悪いのか。

 KINGレブロンが、あの敗戦から何を学んだかが試される一戦となりそうだ。

1/28のピストンズ戦におけるレブロンのフィールドゴール成功率は42.1%
1/28のピストンズ戦におけるレブロンのフィールドゴール成功率は42.1%写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 今夜の会場は、レイカースのホーム、ステイプルス・センターだ。ロスアンジェルスのダウンタウンに建つアリーナに、まだファンは入れない。つまり、レブロンの好む環境は用意されない。

 「やはりKINGだ」というパフォーマンスを見せるか、もしくは「もう36歳なのだ」と叩かれてしまうかーーー。

 個人的には、「レブロンも人の子。調子が悪い日もあるのだ」という結末になるような気がするが……。

 TipOFFを待ちたい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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