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3回KOでデビュー以来12連勝を飾った元海兵隊員のヘビー級

林壮一ノンフィクションライター
Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions

 IBFスーパーミドル級タイトルマッチの前座には、17戦全勝のダーミニ・ロックと11戦全勝のマイケル・コフィによるヘビー級対決も組まれていた。

 ロックの体はだぶついており、腹を狙えばコフィの勝利は明確だった。コフィはスイッチしながら、2ラウンドに左ボディでロックの動きを止め、次の瞬間に顎への左アッパーでダウンを奪う。

Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions

 第3ラウンド、劣勢を挽回したいロックは遮二無二打って出る。が、22秒にカウンターの左フックを浴びてダウン。カウント9で起き上がるが、コフィの狙い澄ました左ボディ、左フックのコンビネーションを食らい、崩れ落ちた。

 ノックアウトタイムは、同ラウンド59秒。

 コフィは白星を一つ付け加え、自身の戦績を12戦全勝9KOとした。

Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions

 コフィは語った。

 「ロックのパンチが速いことは理解していたので、タイミングで彼のスピードを殺す作戦だった。ロックは足を使う際にガードが開くので、そこを逃さないようにと思っていた。

 私は勝利後にベラベラと喋ったり、相手を軽視するような行為は望まない。ただ、自分にはパワーがあるし、動きも良かったと思う。私のスタイルは、どんな選手にも通用すると信じている」

Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo: Sean Michael Ham/TGB Promotions

 実直で落ち着き払った発言をする34歳のコフィは、ニューヨーク、ブロンクス出身。元海兵隊員であり、2年間、アフガニスタンに派遣されていた。

 2016年4月から1年間、アマチュアのリングに上がって5勝3敗。2017年11月21日のデビュー以来、無傷で勝ち星を重ねている。

 「自分には豊富なアマチュアキャリアが無い。でも、デオンテイ・ワイルダー、トマシュ・アダメク、ジアレル・ミラーらと何十ラウンドもスパーリングをこなして、多くを学んだ。

 それに、海兵隊での勤務で、肉体的にも精神的にもいかに己を律するかを心得ている。常々、海兵隊での日々がボクシングにもプラスになると感じている」

 12試合目がFOXでオンエアされたコフィ。今後、大物との試合が組まれそうだ。ストイックさで、どこまで上れるか。興味深い存在である。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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