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23日、WBOスーパーバンタム級タイトルに挑む18戦全勝のチャレンジャー

林壮一ノンフィクションライター
Photo: Amanda Westcott/SHOWTIME

 1月23日、18戦全勝8KOのステファン・フルトンが自身初となる世界タイトルに挑む。相手は、WBOスーパーバンタム級チャンピオン、アンジェロ・レオ。

 本来なら両者は2020年8月1日に、空位であった同タイトルを決定戦という形で争う筈だった。が、フルトンが新型コロナウィルスに感染してしまった為、試合が流れる。

 レオは王座に就き、フルトンは指名挑戦者として雌雄を決することとなった。

 先日行われたオンライン会見で、フルトンは言った。

 「23日はデカい花火を打ち上げるよ。チャンピオンであるレオは激しい閃光を放つだろうな。我々は共に飢えた状態で今回のファイトに向け、十分なトレーニングを積んだ。軽いクラスの戦いということで過小評価されているが、この階級で5本の指に入る実力者同士の試合だ。レオも私も自分の価値を知らしめることとなるだろう。レオはきっと、ベストコンディションでリングに上がるさ。

 コロナによる休息が自分に影響を及ぼしたとは、全く感じていない。より周到な準備ができた。愛するボクシングに戻れるのが嬉しくてたまらないよ」

撮影:著者
撮影:著者

 「自分の思い描いている戦い方は、8月のプランのままだ。リング内での調整も可能。ただ、8月の俺よりも今の方が進歩している。世界戦の機会を失ったことで、心身ともに己を磨き上げる結果に繋がった。

 一時は全てを失ったように感じた。でも、そんな気持ちになったからこそ、以前にもまして自分を追い込んだ。気持ちの入り方が違ったね。

 フィラデルフィアから生まれる世界王者になることに、大きな意味がある。俺はフィラデルフィアでボクシングと出会い、そのままキャリアを積んで来た。隣人たちに、チャンピオンとなる自分を見せたいね。

 フィラデルフィアに、新たなボクシングの歴史を刻みたい。だからと言って、感情を先走らせるのではなく、冷静に賢く、仕事を遂行するよ」

 1年前、WBOインターコンチネンタルタイトルを得たフルトン Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
1年前、WBOインターコンチネンタルタイトルを得たフルトン Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 「自分はスーパースターになるだけのモノを持っている。そのクオリティーを今回、お見せする。そして、自分の名をハッキリと人々に記憶して頂きたいと思っている。

 レオはいい選手だよ。前回は、闘犬のように激しく前に出たね。相手は面食らっていたけれど、タイトルを獲った試合のレオの戦いぶりは、俺の予想通りだった。俺たちは戦わねばならない運命なんだ」

 大言壮語はせず、言葉を選びながらクールに語ったフルトン。見応えのある一戦となりそうだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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