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2020年NBAドラフト1位の19歳ルーキー、アンソニー・エドワーズ

林壮一ノンフィクションライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現地時間の1月7日、2020年のNBAドラフト1位、アンソニー・エドワーズがミネソタ・ティンバーウルブズの一員としてポートランドにやって来た。

 この日を迎えるまでにティンバーウルブズは、7戦して2勝5敗。エドワーズは、その全てに出場して平均のプレー時間が25.1分と、ルーキーとしてはまずまずのスタートを切った。

 NBAで、自身8戦目となったポートランド・トレイルブレイザーズ戦でも、エドワーズは1Qの残り6分5秒からコートに入った。同時に、ブレイザーズもデリク・ジョーンズに代え、元オールスター選手であるカーメロ・アンソニーを投入した。

 ポジションは異なるが、ルーキーのエドワーズも、大ベテランのアンソニーも、今日、シックスマンを担っている。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 高校時代から全米中に名を轟かせ、名門大学に入学するも早々と中退してプロを選んだ点で、エドワーズとアンソニーには共通点がある。

 述べるまでも無いが、前年度に下位だったチームからニューフェイスを指名できるNBAのシステムは、好素材を使いながら育成することとなる。

 地元であるジョージア大の1年生エースから、鳴り物入りでNBA選手となったエドワーズに、ティンバーウルブズは背番号1を用意した。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ポートランド戦のエドワーズは、まずリバウンドを記録し、最初に放ったシュート(3ポイント)を外す。その後、フアン・エルナンゴメスへのパスをデイミアン・リラードにスティールされ、失点の原因を作ってしまう。

 今日のポートランドの顔であるリラードは、このプレーでルーキーにプロの厳しさを教えたかのように見えた。

 が、エドワーズは気落ちするどころか、より積極的になり、再度スリーを狙う。これも得点に結び付けられなかった彼は、20秒後にドライブしながらのレイアップで、同ゲーム初得点をマーク。

 そして、1Q残り44秒ではジャンプショットでの3ポイントを決めた。エドワーズは、いかにミスをしようが、チャレンジする姿勢を崩さない。

 2Qがスタートする前、エドワーズとアンソニーはコート上で握手を交わしていた。

 ターンオーバーを許し、ドライブのレイアップを外しても、このル―キーは攻め続けた。その様からは、ハートの強さが伝わる。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 この日のエドワーズは両チームを通じて最長の31分13秒プレーし、26得点、1アシスト、4リバウンド、2スティールという結果に終わった。

 放った3ポイントシュートは10。そのうちの3本を成功させたものの、117-135でティンバーウルブズは敗れた。

 試合後、34歳の若き指揮官、ライアン・サンダースは、憔悴した表情で述べた。

 「敗因の大きな理由はディフェンスだ。(今季の6敗)毎回、相手チームにいいようにやられている。もっと声を掛け合って、個々の応対で勝たねば。

 若い選手たちは、この結果に傷付いているが……フィジカルも含めて、向上できるように学びながらやっていきたい」

 コロナ禍の影響を受けているとはいえ、このまま負けが続くとサンダースは監督の座を奪われてしまうだろう。

2006 、2012、 2013と3度NBA王者となったドウェイン・ウェイド
2006 、2012、 2013と3度NBA王者となったドウェイン・ウェイド写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 そんなチーム状態にありながらも、19歳のエドワーズは今後も強気の姿勢を貫くに違いない。彼にはドウェイン・ウェイド、ビクター・オラディポと、2人の憧れの存在がある。この2名の先輩は、エドワーズが大学時代の師と敬うトム・クリーンの指導を受け、才能を開花させた。

 ティンバーウルブズの背番号1は、どこまで己を輝かせるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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