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アルゼンチン人コーチが語る「決定力不足に悩む日本サッカー界にとって生きた教科書」

林壮一ノンフィクションライター
(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、栃木SC所属のエスクデロ競飛王。

 自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。

 昨年末から、川越市のフットサル場で自らスクールを始め、埼玉県のジュニアユース、トリコロールFCのコーチとて活動する彼が、日本人の手本になるストライカーとしてマルコス・ジュニオールの名を挙げた。

撮影:著者
撮影:著者

 今シーズンのJリーグは、川崎フロンターレの強さが際立っていましたね。同時に、28ゴールで得点王となった柏レイソルのオルンガも存在感を見せました。

 オルンガは193センチの長身を武器に、跳躍力もあります。レイソルにすれば、彼に合わせれば何とでもなってしまうので、後ろからロングボールを蹴るサッカーでも機能しました。

 でも、それだけではサッカーは勝てません。フロンターレのようにボールを繋ぐことが大事です。

 日本人を指導していると、ミスを恐れてプレーしているタイプが多い。子供の頃からコーチに怒られ過ぎているからです。

 長く代表チームの決定力不足が問題視されているのも、そのあたりに原因があると僕は感じます。FWにもかかわらず、ミスをしないように簡単にバックパスを選んでしまうんですね。

写真:森田直樹/アフロスポーツ

 オルンガのような高さに恵まれている日本人は少ないですよね。そんななかで、僕が注目しているFWは、横浜Fマリノスのマルコス・ジュニオールです。昨年15ゴールで得点王。今年もあまり調子のよくないマリノスのなかで、11ゴールしました。

 彼は167センチと日本人選手よりも小さいくらいです。でも、常にゴールを意識したプレーを見せます。僅かなスペースでも隙があったらシュートしますし、前に前にという意識がある。バックパスなんて選択しません。あれがFWなんですよ。

 是非、小学生から高校、大学生の選手はマルコス・ジュニオールのプレーをしっかり目に焼き付けてほしい。学ぶことが山ほどあります。そして、参考になった部分は真似てください。

 サッカー選手なら誰だってミスをします。先日亡くなったマラドーナだってするんです。でも、チャレンジしなければ絶対に伸びません。外しても外してもシュートを打ち続ける。そういう選手が上に行くんですよ。

 今シーズンは終わってしまいましたが、映像でマルコス・ジュニオールのプレーは見られますから、学習してもらいたいですね。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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