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無敗のWBA暫定スーパーバンタム級王者、ブランドン・フィゲロアの必勝宣言

林壮一ノンフィクションライター
Heart Breakerというニックネームを持つブランドン・フィゲロア(写真:REX/アフロ)

 双子のWBCチャンピオン、ミドル級の兄、ジャモールとスーパーウエルター級の弟、ジャーメルのチャーロ兄弟が同じ興行で世界タイトルマッチを戦うのは9月26日。

 その前座にWBA暫定スーパーバンタム級タイトルマッチが組まれた。

 20勝(15KO)無敗1引き分けの暫定チャンピオン、ブランドン・フィゲロア(23)に挑むのは、15勝(8KO)1敗1引き分けのサウスポー、ダミエン・バスケス(23)。

 フィゲロアは、元WBCライト級王者、オマールの弟である。兄の背を追ってプロボクサーとなり、ボクシング指導は父から受けている。

 そのフィゲロアが、テキサス州ウェスラコのキャンプ地で試合前の心境を語った。

 「俺のファイティングスタイルを理解している家族が支えてくれるのは、非常に心強い。ボクシングって簡単な仕事じゃないからさ。彼らのサポートがあるからこそ、精神面も肉体面も万全に仕上げることが出来るんだ。

 トレーニングキャンプは今のところ、いい感じで運んでいる。オマール・スアレスというパートナーを中心に、数名と何ラウンドものスパーを重ねているよ。良く動くこと、完成度を上げるべく調整している。

 ドローに終わってしまった前回の試合(昨年11月23日)は、ちょっと怪我があってさ……。でも新型コロナウィルスでボクシングができなかった期間、充分な休養を取って、治療につとめた。今回の試合に向けた準備は、本当に上手くいっている。

 あの試合で(対戦相手の)フリオ・セハは体重をオーバーしたけれど、気にせずに戦った。ヤツも打ち合いに来たよね。自分のキャリアで最悪の試合となってしまったけれど、多くを学んだ。自分は負けなかったんだ。やることをやっているし、今は、異なった選手になった自負がある。

 バスケスは足を止めての打ち合いを望んでいるだろうね。でも、距離というアドバンテージが俺にはある」

 確かにフィゲロアは身長もリーチも、バスケスより10センチも上回っている。

 「この試合は、実力を示すチャンスだ。自分が世界王者の中でもトップレベルであることを示してみせる。試合当日が待ち遠しいよ。9月26日は他にも素晴らしいカードが組まれているから、俺を認知させたい。

 今後、どんな選手だろうと俺と戦いたいと言うならやる気持ちがある。そしてファンの胸を熱くするファイトをお見せする。とにかく、俺の試合を期待してくれよ!」

 この試合に勝てば、WBA正規王者と戦うことになるか。同ベルトを腰に巻くウズベキスタン人、ムロジョン・アフマダリエフはIBFとの2冠王者だ。フィゲロアはビッグマッチへの道を拓くことが出来るか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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