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「まだ諦めないぜ!東京五輪!!」U23アメリカ代表復帰を目指すMF

林壮一ノンフィクションライター
U20、U23で米国代表となったウィリアムソンだが…(写真:田村翔/アフロスポーツ)

 U23男子アメリカ代表は3月20日、23日、26日と東京五輪に向けた北中米予選を控えている。コスタリカ、ドミニカ、メキシコの順で戦い、東京五輪の出場切符を目指す。U23代表は独自のサイトを持っておりhttps://www.ussoccer.com/teams/u-23-mens-national-team、そのメイン頁の真ん中に彼の姿が確認できるが、3月に予定される3連戦のメンバーからは漏れた。

Picture credit: Portland Timbers
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 エリク・ウィリアムソン(22)。現在、ポートランド・ティンバーズ所属のMFである。開幕戦で黒星を喫し、MLS第2戦に臨む彼をインタビューした。

撮影:著者
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 U23代表メンバーに返り咲いて、是非とも東京五輪に出場したい。その為にはクラブで活躍しないとね。3月1日の開幕戦は、89分にピッチに入った。1分+ロスタイム3分のプレー。もちろんフル出場したかったけれど、次のステップに繋がるピッチにしなければと思って走った。気持ち的にはGoodだったよ。

Picture credit: Portland Timbers
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 3歳からサッカーをやって来た。他のきょうだいも皆ボールを蹴っていたので、その影響だね。僕は末っ子なんだよ。2人の兄と姉が1人いる。兄1人と姉は大学で選手だった。

 2歳上の兄貴と、いつも一緒に練習した。彼のチームに混ざっていたのでメンバーの中では一番年下なんだけど、プレーは充分通じたよ。スピードもテクニックも判断力もOKだった。その環境が力を付けたかな。いつも2つ上とやっているんだから、同じ歳には負ける訳ないじゃん。

 小さい頃からだいたい、攻撃的MFだったなぁ。でも、ウイングをやっていた時期もある。U20アメリカ代表ではウイング、U23では攻撃的MFだった。今はディフェンシブなMFもやるよ。MFならどこでも出来るって感じかな。

Picture credit: Portland Timbers
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 物心ついた時から、プロサッカー選手になるのが夢だった。母にサッカーの経験は無くバスケをやっていたんだけど、色んな本を読んでコーチしてくれた。「もっとこっちに動きなさい」とか「それでいいわよ」なんてね。本で知識を増やしていったんだ。僕もバスケを齧った。結構やれていたけど、サッカーの方がより活躍できたんだよね。あとは母の友人のサッカー経験者が教えに来てくれたな。

Picture credit: Portland Timbers
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 16~17歳でプロになれると思った。DC Unitedのユースにいたんだけど、1軍の練習に混ざった折に通用すると感じた。彼らはいい選手たちだけど、自分は充分やれるなと思った。僕はいい環境で育ったよ。教育も躾もきちんと受けた。

 自宅に近かったメリーランド大を選んだのは、毎試合、2時間くらい車を運転して母が応援に来られるから。また、コーチのレベルが高く、サッカーに打ち込める場所だったからさ。指導者たちは全選手を次のレベルに押し上げてくれたね。

 プロってさ、目の前の問題を次々に解決しなきゃいけない。日々、ハードにトレーニングすることを持続できるメンタル、試合に出られない時の気持ちの持っていき方、自分を律すること、忍耐……そういう多くの物を持ち合わせてはじめてプロになれる。毎日、それを感じながらプレーしているよ。

 レギュラーとしてコンスタントに試合に出られるようになることが当面の目標だね。スタメンの座を奪いたい。MFならどこでもいいかな…。監督が要求するシステム次第だね。

 

撮影:著者
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 2018年にティンバーズと契約したけれど、当初は2軍の試合ばかりだった。本物のプロになるためにはどうすればいいか。プロとは何かってことを学んだ。勝つ為に何をすべきか、試合の準備はどうすべきか、大学時代の常識から20項目くらいプラスされたよ。メンタルの持っていき方もね。

 

 ティンバーズはアルゼンチン、コロンビア、ベネズエラ等、南米選手たちが多いでしょう。彼らと一緒にいることが、非常にプラスになっている。大学時代のスタイルとは全く違うし、色々なサッカーがある。視野が広がったね。

 大学時代はボールを大きく蹴ることはなかったけれど、南米選手の中には、超ロングパスを出す人もいる。また、課題に直面した時のメンタルの強さは見習わなければいけない。システムや環境が変わっても、勝利に向かう気持ち、バトルが好きなところ、そしてサッカーを心から愛する彼らの姿勢が勉強になるんだ。短いパスを繋ぐところや、センタリングを多用するサッカーも刺激たっぷりだしね。

Picture credit: Portland Timbers
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 僕の将来の目標は、5年を目処にフル代表に入ること。そして、ティンバーズを足掛かりにヨーロッパのBIG Clubでプレーすることだね。2022年、2024年のワールドカップにスタメンとしてピッチに立つことも。

 U23代表に選ばれず、悔しくない筈がないウィリアムソン。しかし全く動じず、前を向いている姿が印象的だった。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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