ハビエル・"チチャリート"・エルナンデスはズラタン・イブラヒモビッチを超えるか?

1月23日、LAギャラクシーの入団会見にて(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 1月21日、ハビエル・"チチャリート"・エルナンデスがセビージャからLAギャラクシーへ移籍した。マンU、レアル、レバークーゼン、ウエストハムと名門を渡り歩いた男の新天地は、母国メキシコの隣国であるアメリカ合衆国だった。

 メキシコ代表最多得点記録である52ゴールを挙げている童顔ストライカーも気付いてみれば31歳。ギャラクシーからセビージャに支払われた移籍金は940万ドル。チチャリートには1年に600万ドルが最低保証され、3年の契約を交わした。

 ギャラクシーは、2018年3月より同チームを牽引し、アメリカ合衆国のメジャー・リーグ・サッカー(MLS)で最も客を呼べた男、ズラタン・イブラヒモビッチhttps://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20180413-00083792/を昨年11月に失い、その穴を埋める人材としてチチャリートに白羽の矢を立てたのだ。

 

 「王として訪れ、伝説として去る」と語ってパリ・サンジェルマンからマンUに移籍し、その後ギャラクシーに入団したイブラヒモビッチにとって、MLSは物足りなかったかもしれない。56試合に出場し52得点をマークした。

 MLS西地区でギャラクシーと鎬を削るライバル、ポートランド・ティンバーズの下部組織でプレーする16歳のアメリカ人少年は振り返る。

 「イブラヒモビッチは、全てにおいて別次元でした。僕らは、彼のプレー、ひとつひとつを食い入るように見詰めていました。チケットも飛ぶように売れていましたよ。でも、やっぱりMLSには勿体ない選手でしたね。低迷するACミランをゴールで建て直してほしいです」

 米国のサッカーもここ数年人気を得てはいるが、やはり国民の最大の関心はNFLであり、NBAだ。私はアトランタ五輪が終了した直後から13年半ネバダ州民であったが、当初「サッカーなんて女のスポーツだ!」と語る人間が多かった。女子代表は当時から強かったが、男子の代表チームが力を付け、全米中にサッカー文化が浸透していった。今日、「サッカーは女性の競技だ」と言う人には、まずお目に掛からない。元ドイツ代表で1990年W杯優勝メンバーであるクリンスマンが、2011年から5年にわたって男子代表チームの指揮を執ったことが大きい。

 そして昨今、米国代表の最大のライバルはメキシコとなっている。W杯予選その他で火花を散らす。サッカーにおいては、日本と韓国のような関係と呼べるであろう。

 その"敵国"メキシコのスターがMLSのビッグクラブに入団したことを、アメリカンはどう見るのか? 先の少年は言う。

 

 「アメリカサッカーの発展を考えた際、メキシコ系の人々の貢献度は計り知れません。彼らがスタヂアムを埋め尽くし、熱狂的な声援を送り続けたからこそ、今があります。もちろん、代表戦はまた別物ですよ。今、暮らしているアメリカを応援する人もいれば、自らのルーツであるメキシコの勝利を願う人だっていますから。

 ともあれ、メキシコ系アメリカンにとって、チチャリートのプレーが生で見られるというのは、この上ない喜びでしょう。祖国の英雄として、イブラヒモビッチ以上に期待していると思いますよ」

 チチャリートは「ヒーロー」としてMLSにやって来た。練習に合流した彼は語った。

 「誰かに何かを見せるというより、純粋にサッカーを楽しみたい。ベストを尽くして、チーム、チームメイト、監督、周囲にいる全ての人に勝利を届けたい。プレッシャーは全く無い。僕はボールを蹴ることを本当に愛しているから」

 王になるか、あるいは伝説となるか? ギャラクシーの白いユニフォームの14番は、間もなくプレシーズンマッチのピッチに立つ。