ノニト・ドネアに勝った男が39歳で成し遂げた2階級制覇
2013年4月13日、WBAスーパーバンタム級王者だったギジェルモ・リゴンドー(39)は、WBO同級チャンピオンのノニト・ドネアを判定で下して統一チャンプとなった。
このマイアミ在住のキューバ人サウスポーは、大物食いによって、一気に知名度を上げた。しかし、寄る年波には勝てない。2017年12月にワシル・ロマチェンコに敗れてからは世界戦線から大きく後退した。
リゴンドーは今回(現地時間2月8日)、空位となったWBAバンタム級正規タイトル決定戦として、同タイトルの元スーパーフライ級王者であるリボリオ・ソリス(37)と拳を交えた。ソリスは山中慎介戦を含み5つの黒星を喫していたが、バンタム級における4度目の世界挑戦、及び米国での”デビュー戦”に気力を漲らせていた。
とはいえ、ピークを過ぎた両者である。見せ場の無いまま、ラウンドが続く。バンタム級の世界戦ではあっても、井上尚弥vs.ノニト・ドネア戦とはまるで比較にならないお寒いファイトが展開された。
結局、第7ラウンドにダウンを奪ったリゴンドーが2-1の判定勝利を収め、2階級制覇を達成。ソリスがダウンを喫したのはキャリアで5度目のことだ。もはや上は望めないことを示していた。
試合後、勝者リゴンドーは、「リボリオは巧い。だから足を使った。彼のスタイルが自分に距離を取らせ、カネを稼がせてくれた。今夜の試合を目にした全ての人が、どちらが優秀なファイターか理解している筈だ」と話した。
6敗目を喫したソリスは、不満げに語った。
「第1ラウンドに俺がヤツにダメージを与えたからこそ、リゴンドーは逃げのボクシングに徹したんだ。ダウンしたけれど、効いたパンチじゃなかった。リマッチを要求する。おかしな判定だよ。明確に勝利したのは俺だ」
日本のファンにもよく知られた2人の対戦だが、虚しさだけを感じるファイトだった。
元統一ミドル級チャンピオンの"マーベラス"・マービン・ハグラーは、かつて私がインタビューした際、「ボクシングはアートだ」と言った。リングで芸術家になれるのは、世界王者の中でもほんの一握りなのだと、改めて教えられた。