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アルゼンチン人コーチが語る「マリノス15年ぶりのV、FC東京の成長」

林壮一ノンフィクションライター
6万3854人の観客の前でVを飾ったマリノス(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、京都サンガ所属のエスクデロ競飛王。自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。

 最近、川越市のフットサル場で自身のスクールを始めた彼が、横浜Fマリノス15年ぶりの優勝と2位、FC東京について語った。

撮影:著者
撮影:著者

 Jリーグの観客動員数新記録となる6万3854人が入ったマリノスのホーム・スタディアムは素晴らしかったですね。やはりホームというのは、選手を後押ししてくれるものです。

 

 僕がスタメンの顔ぶれを目にして感じたのは、外国人選手の人数の違いでした。マリノスは、GKの朴一圭、DFのティーラトンとチアゴ・マルチンス、MF マルコス・ジュニオール、そしてFWにエリキ、マテウスと6名を起用したのに対し、FC東京は攻撃の要となるディエゴ・オリヴェイラを負傷で欠き、DFオ・ジェソク、MFアルトゥール・シルバ、FWナ・サンホだけでしたね。

 Jリーグが1993年に産声を上げてから、かなりの年月が経ちましたから、日本人選手も上手くなりました。でも、こういった大舞台には外国人選手のメンタリティーが必要になります。外国人選手の層の厚さが最終戦の明暗を分けたように感じました。3-0というのは、ワンサイドです。

 FC東京は高萩洋次郎がいいパスワークを見せましたが、永井謙佑が決定機を生かせませんでしたね。永井も肩を脱臼していたので、本調子じゃなかったのかな。

 それに対して、マリノスはチャンスを逃さなかった。途中からピッチに入った遠藤渓太がゴールを決め切る勝負強さを持っていました。

 今季、FC東京はずっと首位を走り、大躍進を遂げました。これは、長谷川健太監督の手腕によるものでしょう。僕は彼の「繋ぐサッカー」や育成手腕を高く評価しています。AWAY8連戦も頑張って首位で味スタに戻って来たのに、終盤のホームゲームであるベルマーレ戦、レッズ戦を共に引き分けてしまいました。

 やはり”初優勝”のプレッシャーが大き過ぎたんだと思います。それで、自分たちのサッカーが出来なくなってしまった。マリノスは過去に3度優勝していますから、経験値も武器になりましたよ。長谷川監督はマリノスの前身、Jリーグが始まる前の日産自動車の黄金期を支えた人でもあるんですよね…。

 FC東京は来季が長谷川健太体制での3年目になります。充実期を迎えるように思いますね。今回の悔しさは誰もが忘れないでしょう。後半、ベンチに下がることになったキャプテンの東慶悟を中心に、大きく飛躍してほしいです。マリノスにはもちろん、いいゲームをありがとう! おめでとうと言いたいです。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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