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デオンテイ・ワイルダーは「ヘビー級最強」になれるか?

林壮一ノンフィクションライター
5月18日に9人目の挑戦者を初回2分17秒でKOしたワイルダー(写真:ロイター/アフロ)

 ヘビー級の歴史を振り返ると、11月にBIG Matchが行われている。私が実際に取材したファイトだけても、マイク・タイソンvs.イベンダー・ホリフィールド第1戦(1996)、ホリフィールドvs.マイケル・モーラー第2戦(1997)、レノックス・ルイスvs.ホリフィールド第2戦(1999)、ルイスvs.デビッド・トゥア(2000)、ルイスvs.ハシーム・ラクマン第2戦(2001)、ジョージ・フォアマンvs.シャノン・ブリッグス(1997)が挙がる。

 現場には出なかったが、1992、1993、1995年はホリフィールドvs.リディック・ボウ、1994年にはフォアマンvs.モーラーも催された。

 プロモーター達は年末に大きな興行を手がけ、PPVを売って来たのだ。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 来る11月23日のWBCヘビー級タイトルマッチ、デオンテイ・ワイルダーvs.ルイス・オルティス第2戦も、FOXが派手なプロモーションを仕掛けている。

 とはいえ、過去の名チャンプたちの死闘と比べると、どうしても粒の小ささを感じざるを得ない。カード自体に新鮮味がなく、両者は既に決着がついた感が拭えないのだ。

 ワイルダーはトレーニングキャンプ中、「オルティスは頭が良く、素晴らしいカウンターパンチャーだ。前回の彼との試合で、自分は十分なジャブを出せなかった。サウスポーを相手にした際の、立ち位置がマズかったと反省している。もっといいパフォーマンスをしてみせる。注意して第1ラウンドを戦い、ドラマティックな内容で勝利する」と語った。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 また、「第一戦の時、俺は風邪を引いてしまっていたんだ」とも明かした。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 一方のオルティスは「自分のゴールはヘビー級世界チャンプになること。それがブレたことはない。常に世界タイトルを求めてやって来た。ワイルダーがどの程度進歩したのかは分からないが、自分が前回の試合よりも成長したことは間違いない。試合終了まで、休みなくパンチを出し続ける。ヤツを破壊するチャンスを狙っていく。必ずKOで試合を終わらせてみせる」と発言。

 

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 挑戦者は更に「自分がキューバ人であることを誇りに感じている。キューバ人初の世界ヘビー級チャンピオンとなるのだから、ワクワクしているよ」とも話した。

 既に、両者共にラスベガス入りした。

 ゴングまで残すところ3日。過去のヘビー級レジェンズたちと比較すると見劣りしてしまうが‥‥最重量級に相応しい好ファイトを期待したい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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