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アルゼンチン人コーチが語る「日本代表はモンゴル戦で10得点できた」

林壮一ノンフィクションライター
モンゴルに6−0で大勝したサムライブルー(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 実兄のピチは、あのディエゴ・マラドーナと共にワールドユース東京大会(1979年)で世界一となった右ウイング。息子は、京都サンガ所属のエスクデロ競飛王。

 自身は、元アルゼンチンユース代表&ビーチサッカーアルゼンチン代表であるセルヒオ・エスクデロ。その彼が、日本代表が6−0でモンゴルを下した一戦について語った。

撮影:著者
撮影:著者

 勝ち点を得られたことは良かったです。でも、モンゴルと日本の実力差はかなりのものがありますから、2桁得点してほしかった。勝って当然の相手ですよね。特にモンゴルのGKは素人か? というレベルでしたから、10点とってもおかしくない相手でした。

 日本代表は外から抉って、クロスをマイナスに入れるサッカーが出来ました。言ってしまえば、試合というよりも「シュート練習」みたいな内容だったと思います。

 6点中5点がヘッドでしたね。センタリングの精度が高かった。右サイドを突破して、左サイドバックの長友が決めるという形も良かったですよ。

 でも、モンゴルは意気消沈していましたから、前半4点獲ったなら、後半はもっと得点していい筈です。

 今後、強い相手にどういうサッカーをしていくのか? 例えば、韓国を相手に今回のようなサッカーが出来るのか? といったところが、日本の課題になるでしょう。 

 

 僕の好きな原口が途中から出て、得点を狙っていましたね。出してもらえば、彼はどんどん良くなっていきます。今後、日本を脅かす強い国とやる時に、原口の経験は武器になります。苦しい時に必ず活きて来ますよ。

 サイドを崩して、鋭いクロスをマイナスに入れる。僕はそういうサッカーが好きです。中盤はスピーディーにダイレクトパスを繋いで、ウイングやサイドバックに渡す。そしてセンタリングで中に入れて得点する。

 理想は僕の兄やマラドーナが見せた1979年ワールドユース東京大会時のアルゼンチン代表チームのサッカーです。あれは本当に美しかった。

撮影:セルヒオ・エスクデロ氏
撮影:セルヒオ・エスクデロ氏

 日本にも、あんなサッカーを根付かせたいと、このほど小学生を教えることにしたんですよ。埼玉県川越市のフットサル場を借りて始めました。日本には、コーチに怒鳴られて萎縮してしまっている子が沢山いますが、サッカーの楽しさと、美しいサッカーを伝えていきたいですね。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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