Yahoo!ニュース

200年に一人の天才ボクサーが語る「“リトル・タイソン”よ、もっともっと上を目指せ!」

林壮一ノンフィクションライター
重岡銀次朗にはタイソン・スタイルをマスターさせたい(写真:Splash/アフロ)

 現役時代、所属していた協栄ジム会長、故金平正紀に「具志堅用高を超える逸材。200年に1人の天才」と絶賛された元WBAジュニアウエルター級1位、日本同級&日本ウエルター級王者の亀田昭雄。

 本シリーズでお馴染みの彼に、7月27日にアジアパシフィックミニマム級王座に就いた重岡銀次朗について訊いた。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 1ラウンド1分12秒KO勝ちですか。アジアパシフィック戦は圧勝でしたね。銀次朗は強いです。相手にパンチを当てるタイミングが凄くいい。パンチもあります。世界を狙えるモノを持っていますよ。

 ただ、今回の相手、クライデ・アザルコンが世界レベルの選手かと言えば、そういう訳ではありません。1発のボディで起き上がれなくなってしまうということは、腹が弱いからですよ。

 銀次朗はもっと大きなベルトを目指す逸材ですから、今後の対戦相手もどんどん強くなっていきます。アザルコンのような脆い選手とは格が違う男と戦うことになるんです。そういう相手に勝ち続けていくには、もっともっとリズム感を持った戦い方をしてほしい。アザルコンになら、直線的に放つビッグパンチが当たりました。でも、レベルが上がるほど、そういう訳にはいかなくなります。

 銀次朗には自分のリズムを作り上げてほしいです。体を柔らかく、頭を振る。ダッキングして直ぐに手を出せるようになると一皮剥けますよ。シャドウでもサンドバッグでも、打ったらよけて、よけたら打つ意識で練習していくことが肝心です。

 銀次朗は、身長153センチなんですよね。つまり、相手は必ず自分より背が高い訳です。必然的にインファイトをするしかありません。マイク・タイソンと同じですよ。目に留まらない程のスピードで激しく頭を振ってステップインし、低い体勢から相手の懐に飛び込む。そして、強打をぶち込んでいくスタイルです。

 まずは、高速ヘッドスリップを身に付けると大躍進できるでしょう。そうすれば、彼だけのリズムが出来上がります。是非、銀次朗には“リトル・タイソン”を目指してほしいですね。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事