Yahoo!ニュース

実はメイウェザーはKO負け寸前?

林壮一ノンフィクションライター
8.26にリングに上がるメイウェザー。その本当の目的とは?(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 フロイド・メイウェザー・ジュニアがMMAの人気王者、コナー・マクレガーを相手にする“カムバック”が迫って来た。

 2年のブランクがあるとは言え、ボクサーとしてズブの素人であるマクレガーを相手にすれば、メイウェザーが勝利するのは目に見えている。

 メイウェザーは2015年9月のアンドレ・ベルト戦を最後にリングから遠ざかって来た。同年5月に行われたパッキャオ戦で、2億2千2百万ドルもの金を稼いだことは、記憶に新しい。ベルト戦でも3千200万ドルの報酬を得ている。

 そんな高給取りであるにも拘らず、メイウェザーは税金を滞納し、IRSに嘆願書を提出した。先月5日にIRSが受け取った嘆願書には、「8月26日のマクレガー戦まで、支払いを待ってくれ」と書かれていたそうだ。こうした事態を招いたのは、無敗のPound For Pound KINGが税金の支払いを無視して来たからにほかならない。

 思えば、統一ヘビー級王者だったイベンダー・ホリフィールドも、リングで稼いだおよそ2億5千万ドルを全て失った。理由はIRSへの未払いと、6人の女性との間にもうけた11人の子供への養育費を払わなかったからである。ホリフィールドは、約29万坪の敷地に5000平方メートルもの建築物を築き、これぞ世界一の男の象徴だとばかりに、成功を見せつけていたが…。

 メイウェザーは、ホリフィールドのように破滅の道を進む前に、―――金になって、ボクシング技術は無い相手―――マクレガーとのファイトを決めた。実にしたたかなカムバックである。

 メイウェザーは、リングでも計算高くMMA王者を仕留めることができるだろうか? 日本ではDAZNでの視聴が可能である。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事