交通事故から蘇った不屈の世界チャンピオン

今回、スクリーンで"復活"したビニー・パジェンサ(写真:Shutterstock/アフロ)

1987年6月、グレグ・ホーゲンを判定で下してIBFライト級王座に就いたビニー・パジェンサ。通称パズ。

パズは、気の強い、喧嘩ファイターだった。彼は、王座獲得から8ヵ月後に組まれたホーゲンとのリターンマッチでベルトを失ってしまう。以後、1階上のジュニアウエルターで、WBC、WBO、WBAのタイトルに挑戦するが、全て敗北。もはや峠を越えたファイターと囁かれていた。

が、1991年10月1日、階級を更に2つ上げ、12回KO勝ちでWBAジュニアミドル級の世界チャンピオンとなる。まさしく<復活>を遂げたのだ。

パズが悲劇に見舞われたのは、王座に返り咲いた6週間後のことであった。交通事故で首を骨折。緊急手術後、頸椎を固定するため、「Halo」と呼ばれる金属製器具を装着せねばならなくなる。28歳のチャンピオンは、もはやリングに上がれないと思われた。

が、パズは諦めなかった。

まさかのカムバックから9連勝を飾り、パウンド・フォー・パウンド、ロイ・ジョーンズ・ジュニアに挑む……。

ロイ・ジョーンズにはノックアウトされるが、その闘魂は見る者を熱くさせた。

そんなパズの物語が、この程スクリーンに登場する。リングでしか生きられない不器用さと、それでいて真っ直ぐな姿が描かれている。現役時代のパズや当時のニュースもチラッと映るし、HBO解説者も声で出演している。また、八戸帝拳に所属した米兵で、日本&OPBF王者だったカーロス・エリオットの名も出てくる。

事実を伝えている部分もあるし、フィクション化したところもある。ストーリーはロイ・ジョーンズとのファイト前で終わっているが、見応え十分の力作だ。無論、ボクサーを競走馬のように扱うプロモーターの胡散臭さにも触れている。

日本でも明日、7/21(金)より、TOHOシネマズシャンテ他にて全国公開される(配給先ファントムフィルム)。ボクシングを知らない方も、パズの生き様に触れて頂きたい。

   (C)BLEED FOR THIS, LLC 2016   『ビニー/信じる男』
(C)BLEED FOR THIS, LLC 2016   『ビニー/信じる男』

エンドロール中に流れる、パズ本人の言葉は、間違いなく胸を打つ。