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村田諒太がいずれ戦わねばならない相手 ~ゲンナジー・ゴロフキン~

林壮一ノンフィクションライター
WBAミドル級スーパー王座に就いているゲンナジー・ゴロフキン(写真:ロイター/アフロ)

5月20日に村田諒太が挑むのは、WBA正規タイトル。今更説明するまでもないが、同団体にはその上に"スーパー王座"がある。 つまり、世界王座になっても"ナンバーワン"とは呼べないのだ。

現在ボクシング界は、このような滑稽な状況が続いており、チャンピオンが複数、存在する。

WBAミドル級スーパー王座、WBC同級王座、IBF同級王座についているのがカザフスタン出身の35歳、ゲンナジー・ゴロフキンである。この統一チャンピオンは、カザフスタン人の父とコリアンの母を持つ。

2017年3月18日、ゴロフキンはダニエル・ジェイコブスを僅差の判定で下した。現在、パウンド・フォー・パウンドNO1と評されるゴロフキンだが、報じられた2カ月前のファイト報酬は250万ドル(※1ドル=100円の単純計算で2億5千万円)。ミドル級最強のチャンピオン、PFPファイターとしては、破格の安さである。

因みにマニー・パッキャオが2009年11月14日のミゲール・コットと対峙した折には2200万ドル(※同22億円)が保障された。敗れたコットにも1200万ドル(同12億円)を得た。パッキャオvsメイウェザー戦の5年以上前の話である。

1999年9月18日に『The Fight Of The Century』(1000年に一度の試合)という派手なキャッチコピーで催されたWBC/IBF統一ウエルター級タイトルマッチ、オスカー・デラホーヤvsフェリックス・トリニダード戦は、デラホーヤに2100万ドル(同21億円)、トリニダードに1050万ドル(10億5千万円)が約束された。

こうした数字からも、カザフスタン人であるゴロフキンが、米国で人気選手になり得ていないことが分かるだろう。

ゴロフキンの次戦は9月16日。相手は、5月6日にフリオ・セサール・チャベス・ジュニアを下したメキシコの星、サウル・アルバレス。現WBO世界スーパーウェルター級チャンピオンで、過去にWBA・WBC世界スーパーウェルター級スーパー王座、WBC世界ミドル級タイトルに就いたこともある。

ゴロフキンは、アルバレス戦でキャリア最高のファイトマネーが保障されるらしい。20日に村田諒太が勝利し、9月16日に戦う両チャンピオンと絡んでくれば、面白い。いや、最強の座に就くには、絶対に避けて通れない相手だ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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