【東京入管の難民虐待疑惑】ネット有志が署名提出、収容所前で解放アピール「メルバンさんに自由を」

東京入管の収容所の外から、メルバンさんの解放を呼びかける人々。

 具体的な理由も示されないまま、東京入国管理局の収容所に拘束されている、日本育ちのクルド難民女性メルバン・ドゥールスンさん(22)。パニック障害を患うにもかかわらず、入管側はメルバンさんの体質に合う薬の持ち込みを禁止しているため、彼女の病状は悪化。拘束中も度々発作を起こし、血を吐いたり、自傷行為を繰り返している(関連記事)。ネット上ではメルバンさんの解放を訴える署名活動が始まり、先週22日、署名者ら有志の10数名が、約2500人分の署名を東京入管に提出。東京入管の前で拡声器を使った呼びかけも行い、メルバンさんや他の被収容者らも、収容所の中から叫んで答えた。

〇有志の個人がネットで集まり行動

 今回、メルバンさんの解放を求める署名を集めて、東京入管に提出しにいった人々は、ネットで集まった有志の個人達。主に、市民団体「SYI」(収容者友人有志一同)メンバーで、メルバンさんの友人である織田朝日さんのツイッターでの呼びかけに反応。ネット署名サイト「Change.org」での署名を ハッシュタグ #FREEMEHRIBAN (「メルバンさんに自由を」)と共に、ツイッター上で呼びかけていた(関連情報)。

メルバンさんの解放を求めるネット署名
メルバンさんの解放を求めるネット署名

 署名を提出したハンドルネーム SWEP さんは、筆者の取材に対し「自分もパニック障害に苦しんだ経験があり、他人事とは思えなかった。メルバンさんのことで東京入管に電話したものの、すごく冷たい対応をされ、電話だけじゃダメだ、何か行動を起こそうと思った」と語る。また、SWEP さんと共に署名を提出した男性は「メルバンさんとは直接知り合いではないけども、東京入管がメルバンさん達に人権侵害を行っていることは、有権者である僕らの責任でもあると思う」と語った。 

東京入管収容所内のメルバンさんら被収容者に呼びかける署名提出有志
東京入管収容所内のメルバンさんら被収容者に呼びかける署名提出有志

 署名提出後、SWEP さんらは、拡声器を使って、「メルバンさんを解放しろ」「移民・難民、受け入れ賛成」「頑張れー、あなた達は悪くない」等と東京入管の収容所の外から呼びかけ。これに、収容所内からも、被収容者達が窓から手を振り、メルバンさんも「ありがとー」と叫んで応じた。SWEP さんは「署名はまだ増え続けているし、今後も、こうした行動を起こしていきたい」と語った。

呼びかけに応じ、収容所の窓から手を振る被収容者
呼びかけに応じ、収容所の窓から手を振る被収容者

 メルバンさんの入管収容所内での処遇については、筆者はこれまで幾度か、東京入管に事実確認を求めたものの、「個別の案件にはお答えできない」(東京入管広報)との回答を繰り返している。

〇国連も問題視、難民を迫害する日本

 難民条約批准国であり、庇護を求める難民を助ける義務があるにもかかわらず、日本は他の先進諸国と比べても、極端に難民に対して冷淡だ。2016年の統計では、ドイツが約25万6000人の難民を受け入れており、日本と同じ島国で土地が狭いイギリスも1万3554人を受け入れている。これに対し、同年の日本の難民認定数はたったの28人。2017年は20人と、さらに数が減った。メルバンさんの件のように、収容所に拘束した人々に対する虐待や、迫害の恐れのある国へ送還しようという姿勢も、しばしば問題となっており、自由権規約委員会や拷問禁止委員会など国連の人権関連の委員会から、日本は度重なる是正勧告を受けている。

(了)

*本稿の写真は全て筆者の撮影。無断使用を禁じる。

パレスチナやイラクなどの紛争地での現地取材、脱原発・自然エネルギー取材の他、入管による在日外国人への人権侵害、米軍基地問題や貧困・格差etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに寄稿、テレビ局に映像を提供。著書に『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共編著に『原発依存国家』(扶桑社新書)、『イラク戦争を検証するための20の論点』(合同ブックレット)など。イラク戦争の検証を求めるネットワークの事務局長。

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